ヤマハもホンダもカワサキもスズキも同じようなNS製のメータを採用していて、なおかつT8016Aを利用したタコメータを使っているが、基本的に機種間に互換性はない。
互換性が失われている点は3点。
1)点火パルスの取得方法の問題
2)タコメータ自体のスケールの問題
3)点火方法の違い(CDIとかフルトラとか)

ちなみに3)の点火方法については、T8016Aを使ったNS製タコメータは、ピックアップ信号を取る部分の回路を変えてCDIとフルトラの両方の点火方法に対応しているみたい。手元に無いので詳細は不明。
今回は3MAと3XVのタコの違いから少し考察。


まずは点火パルスの取得方法について。

今回SDRに3XV(V型ツインエンジン搭載のTZR)のタコメータを装着したけれども、これは3XVがクランクシャフト一回転で、点火が一回/気筒であるから。
3MA(後方排気形パラツインエンジン搭載のTZR)やそれ以前のパラツインエンジンだと、クランクシャフト一回転で2回点火/気筒をする。つまりピストンの上死点、下死点でプラグ点火を行う。
パラツインとVツインで点火しているタイミングが違うんやね。
SDRはクランク一回転で一回点火なので3XVのタコメータは回転数がズレないけど、3MAのタコメータをつけると回転数表示が倍になる半分になる。
・SDR/3XVにパラのタコ→表示が半分
・1KT~3MAにV型、シングルのタコ→表示が倍

さてここにあるのは3MAのタコメータ。
iPhone 001

前回3XVのタコメータをバラしながらも回路図取ってなかったが悔やまれるけど、今回はこれを解剖する。

土台部分をマイナスドライバとラジオペンチで分割。
iPhone 002

メータと基板をつないでいる線をハンダを取り除き分離する。
iPhone 004

裏面はこんな感じ。
ちょっとハンダつけすぎとちゃうんかな。
iPhone 005

資料写真
iPhone 006

iPhone 007

iPhone 008

裏表を合成するとこんな感じ。
tach

ちなみに3XVの基板はこんな感じ。
違いはおそらく抵抗値のみ。
iPhone 003 のコピー
(もっと詳細な写真とっとけばよかった) 

運悪くZD2がよく見えなかったので、さらに分解。
iPhone 010

Z6.2とあるので、6.2Vのツェナーダイオードみたい。
データシートはこちら
iPhone 009
これを使ってノイズ除去してるんやね。

回路図を起こしてみたところ、こんな感じだった。
至ってシンプル。
無題

OUT+/OUT-間の電圧差でタコメータを動作させている。
OUT+はほぼバッテリ電圧で、OUT-側の電圧を少し落とす事によって電位差を作っている。
T8016AはカスタムICの様で、データシート等は見つからず。

3XVとの違いはおそらくR2、R3のみ。スペック比較をするとこんな感じ。
       3MA    3XV
R1     18K         パルス電流制限
R2    150K   180K  プルアップ抵抗
R3     12K    10K  メータ電圧調整用抵抗
R4     1.4         ?
R5(1W)  39         メータ駆動用電流制限
C1     4.7nF       パスコン
C2     0.1uF       〃
C3      10uF       IC電源供給補助
C4      47uF       メータ電源供給補助
C5     470uF       メータ電源ダンパ
C6      33nF       パスコン
ZD1     20v        メータ過電圧保護用
ZD2    6.2v        パルスノイズ除去
R2は単なるプルアップ抵抗なので、実質的な違いはR3のみと思われ。
ただし、R3を10Kにしたところで3MAのタコが3XVで使える訳ではないので、配線が違うかも。
よく見とけばよかったなぁ。
(後日データとりました)
R3は6番8番ピンの間でVR1と共に電圧調整をしてる部分。
おそらくこのR2変えたら3MAや1KTのタコも3XVやSDRで動くと思うけど、タコメータのスケール自体が違うので、調整は必要かなと。

パルスをピックアップする回路はマイナス電圧を拾うタイプ。
なんか時々見かける勘違いとして、IGコイルにプラス電圧を掛けて点火しているって思っている文章や記事を見かけるけど、実際はCDI方式はマイナス電圧を掛けて点火しているんじゃないかなと。

ざっくりとCDIの点火方法を書くとこんな感じ。
無題
エキサイタコイルから充電されたコンデンサの開放を、ピックアップ信号によってゲートをオープンするサイリスタ(SCR)によって開放する。
サイリスタで(A)を地絡させるので、(A)側がGNDになる。そのため(B)側はGNDから相対的にみてマイナスになる。一気にコイルにGND側から(B)に向かって電気が流れるので、プラグに点火される仕組み。

この(B)点に接続されたタコメータなんだけど、T8014の1番ピンがプルアップされており、(B)点が地絡した際に、「コンデンサに吸われて」GNDに落ちる。
流れる電流はコンデンサの充電電圧が350Vと想定して、18Kの抵抗があるのでおよそ20mA程度。
余談だけど、HT-ROCKET等の倍加回路を組んでいる場合、この部分に相当負担が掛かるので直列にもういっちょ18K位つけとくべきだと思う。(→ベーヤタさん付けた?)


メータ駆動部分に関しては、どうやら電圧で針が動くタイプの様で、3V掛けると大体180度動く感じみたいやね。
可変電圧レギュレータで実験してみるとこんな感じ。


実際動かしてみると、、、結構いい加減やねぇ..。まぁ構造上しょうがないのかな。

回路を机上で試すのであれば、R2でプルアップされた部分をオープンドレインで吸ってあげればOKなので、まぁ気が向いたらやってみたいけど、、、おそらく先にさらに分解する気がする。
 

続く
NS(日本精機)のT8016Aを使ったタコメータ(2)