という衝撃的なタイトルで始まりますが、まぁネタ話と思って読み流してくださいね。

前のエントリーのコメント欄で、SRXのおにぎりメーターで盛り上がってますけど、意匠デザインなんて所詮好みの問題ですので、良い悪いは受け取り手が決定するものです。
プロダクトが世に出た後は、もう作り手と受け取り手の1:1の世界。
人がどう感じるかはどうでもいいことなのです。


ただ、アルモクさんのコメント「デザインというのは少なくとも、営業的な物があるので売れる物をリサーチして商品化する仕事かと」という点は、狭義の意味では正しいと思いますが、例えば自分からすると半分違うなぁって思います。
勿論アルモクさんの言うデザインは純たる視覚的なデザインの事だとは理解した上で、前置きとして明確にそこを区別しておきます。
ここで語るデザインという単語は、サービス・プロダクトの世界の話で、さらに踏み込んでUXデザインまでを括ります。
この中で、お客様のリサーチをしてデザインするモデルは例えば自分の住む世界では全体シェアの6割程度な実感です。
残り4割は技術の進歩、世の中の進歩、お客様のリテラシ向上等を鑑み、世の中に無いものを捻りに捻って生み出しています。
うまく行くかどうかは別にして。

特に自分の住む世界では技術の進歩は(たまたま成長分野なので)凄まじく、5年前とは全く世界が違います。
結果、次から次にその技術を組み込んで送り出す事になります。
新しい技術は必ず新しい使い方、新しい世界、新しい生活を生み出す可能性を秘めています。
これらを考えて考えて、考え抜いた上で、お客様に新しい生活シーンを提案し、他社を圧倒する様なものにしていかなければなりません。

何かひとつのアイテムが、お客様の生活シーンを変える、それを想像して形にしていく事こそが、プロダクト、サービスのデザインです。
そこには新しい技術をギリギリまでダウンサイズしたりコストダウンしたり、それを手に取る人が本当に何も考えずに使えるようにするUIを構築したり、どの様にお客様に伝えるのか広告モデルを設計したり、そしてそれらを統括して全体を調和させたり、と、本当に数多くの分野の人々が日夜しのぎを削っているところです。


一時期、90年代の絶好調のアメリカがやっていたのは、マーケット重視のものを大量に売りさばくやり方でした。まだインターネットも普及しきっておらず、人々は何が良いか、という判断軸をマスコミや一部の権威の人達にまかせていた頃です。一部の先導者がマーケットを意図的に作り上げ、大量に製品を流し込んでいた時代で、この手法を00年代の日本は輸入し、大失敗しています。
お客様はとっくに「多様性」を勝ち取っていたのです。
そういえばこの頃、アメリカマーケティング論カブレのお兄ちゃん達が「それはプロダクトアウトの考えだから間違っている!これからはマーケットイン!」とかを事の本質も分からないまま
アホみたいに
唱えていたのを良く覚えています。
大抵こういう奴は声が大きいので、組織も振り回されたりします。
本当に悪夢の様な時代でしたね。

まぁ、、、日本を代表する企業が揃いも揃ってコケてたのを覚えている人は沢山いるでしょう。
市場の声だけを聞いてモノを作ってしまい、結局同じものを安く作れる中国製などに駆逐されてしまいました。

そこでアメリカ人は気が付きました。
イノベーションのジレンマ。
Life is beautiful のサイトに掲載されている図が単純で分かりやすいので引用します。
itune

詳細は上記サイトに説明を譲ります。
お客様の声を聞いてるだけだと、その製品の(サービス含めた)デザインは失敗します。

日本では任天堂のDSなどが破壊的イノベーションにあたりますかね。
枯れた技術の水平思考。元任天堂の横井軍平の素敵な言葉です。

日本でも徐々に余りにも沢山の技術が生かされないまま、屍を晒している事に気が付き始めました。
え?そんなんでええのん?と。
まさにこの破壊的イノベーションを一度死んだかと思われたアップルが、スティーブジョブズの復活と共に体現してましたね。
中国的の破壊的な価格、アメリカ的な破壊的なUX、どちらも現代のプロダクト+サービスのデザインで、ステレオタイプの様に中国のマーケットイン、アメリカのプロダクトアウトと区分しても仕方ありません。どちらもイノベーションなんです。
この2つの言葉をうまく解説している記事が日本総研サイトにありますので、リンク貼っておきます

DSとかプロダクト以外にも、アマゾンの様な破壊的イノベーションを引き起こした「サービス」もこの頃登場ですね。ついこの間アメリカで発注した製品が次の日届いた、、、という話をしました。まぁアメリカ行ったことがある人は実感できると思いますが、普通に考えたら「不可能」な技です。この体験(=UX)を「デザイン」したアマゾンは本当に凄いなぁと思います。

そろそろ本題。

翻ってバイクのデザインも、タンクやメーターだけをみてデザインしている人なんて、もはや存在しないはずです。
お客様にどの様な体験をしてもらうのか、そこを考えて全てが決まっているはずですから。

今はね

んでも昔はその辺をもう少し少数のスペシャリストの勘でやっていたと思います。
UXデザインなんて最近体系付けられてきたもんやしね。
だもんで、昔のプロダクトは良い意味で「デザイナーの我侭」が多分に含まれていたんだと思います。


さて、長い前置きは終了です。
カエゥさんとかずさんの意見が分かれているSRXのタコは果たして「余計なもの」だったのか「デザインされたもの」だったのか。

ヤマハのSRX600開発者インタビューのページに初期のラフデザインが乗ってますね。
引用します。
srx

どっちでもねぇよwww

ってのが答えかな。
異型サイズのタコはついているけど、おにぎりじゃない。

まぁその後デザインを詰めている間にあの三角形パネルになったのでしょうけど、その過程でも自分の想定ではややSRXタコは「余計なもの」だったのでは無いかと思っています。
上記開発者インタビューを見ると、どうもデザイナーである一条氏の3つのコメントからそう思わざるを得ないのです。

(1)SRXメーター背景は当時存在しなかった白色。どうしても譲らない部分。
ところが、、、SRXのタコは背景黒です。
(2)兎に角細いバイク。
タコ付けたらその分幅が出ちゃいます。
(3)アルミ・ステンのシルバーがデザイン核、クレイモデルなのにアルミ叩きだし部品を使う。
タコのケースは非アルミ、ステーは金属でパネルすらありません。
一方メーターはケースはコスト度外視のメッキケース、パネルはアルミ。
 
つまりですね、ここは一条氏が「タコはどうしても必要」といった販売サイドの声に逆らえず、
んじゃぁメッチャ目立たなくするね
と言って付けた感満載なんです。

真実は聞いてみるまで分かりませんが、少なくとも目にする資料としてはSRXのタコはデザイン外の様な気がします。


さて、、、その後のSDRの誕生についても夢想してみます。
なお、実はSDRがGKデザインって話はどこにも無く、 GKダイナミクスのサイトでも、完全スルーされてます。
SDRはヤマハ社内デザインなのかも知れません・・・。 

以下ジョークね。

工場から製造されたSRXをみたGKさん

GK「なんだよこのデップリしたバイクは」
開発「あ〜?しょうがねぇだろ600ccのエンジンなんだからよ、この幅は必要なの」
GK「え、つか、クレイはもっと細くしてたよね?」
開発「エアクリボックス入れる為にしょうがないでしょ」
GK「マジかっ!カタナ見たいにもっとデザイン重視しろよ」
開発 「ならハンスムート呼んで来いゴルァ」
GK「なんだよぉ〜、あ、なんでタコメータついてるの?ねぇなんで?(#^ω^)」
営業「タコ付けないと売れないからに決まってるだべ、時代はレーサーだべ」
GK「いやさ、まぁ早いシングル目指したけどさ、、、」
・・・

営業「SRX売れたよ〜」
GK「マジか、良かった。でも次は妥協したくない」
営業「また売れるバイク作ってよ。ガンマが売れてるのよ〜」
GK「んじゃフルカウル作るわ」
開発「お、ついに来たか。絶対ガンマには負けへんで!」
営業「んじゃ、TZレプリカでTZRね〜」
・・・TZR(1KT)発売

営業「TZRめちゃ売れだよ〜」
GK 「だろ〜?ね、ね、TZR売れたからSRXのリベンジしたいんだけど」
営業「いいよ〜今絶好調だからね」
GK「うっしゃ、次はもっと細いバイクがええね」
開発「いやいやいや、これ以上無理だから」
GK「何が原因なのさ」
開発「そりゃ600ccのエンジンでしょ、エアクリの大きさとか計算で厳密に決まってるんだよ」
GK「どうすりゃ小さくなるのよ?」
開発「う〜ん、これ使ってみる?DTのエンジン」
GK「え、まじ?これメチャ小さいやん、いけるいける」
開発「んじゃデザインしてみてよ」
GK「OK!SRXのリベンジすんで」
・・・

GK「デザインできたよ〜」
開発「んじゃぁこりゃぁぁ、細過ぎるやろ、、、こんなもん作れるか」
GK「え、いけるいけるって」
開発「んじゃ一人乗りにするで。ならええわ」
営業「・・・マジか。TZRですら二人乗りやで」
GK「いや〜OKOK!それで細くなるなら」

開発「しっかしお前本当に光モン好きなんやなぁ、次はフレームかい」
GK「TZRでタンマリ儲けたでしょ、金あるでしょ」
開発「・・・まぁ」
GK「好き勝手にやってるんでしょ?なにあれ、後方排気ってさぁ、必要なの?」
開発「・・・ま、まぁ分かったよ」
GK「あとさ、フレームの隙間からエンジンキャブ以外見えちゃいやよ」
開発「はぁ?むりっしょ」
GK「タンクの内側削ればええやん」
開発「うーじゃぁタンク容量9リットルね」
GK「後、SRXのときみたいにエアクリが大きくなり過ぎる問題解決したよ」
開発「は?どうすんの?え、ここの三角形の所かい」
GK「俺天才でしょ」
開発「まぁ、、、オモロイからええけど」
営業「(レプリカちゃうし、あんまり売れそうにないな・・・)あんまりコスト掛けないでね」
GK「んじゃ〜タコも外すか(よっしゃ、これでタコ外せたぞ)」
営業「う〜ん、、、まぁいいよ(どうせ売れなさそうだし)」
開発「了解任せろ!(よしよし、エンジンには機械タコの仕組み入れちゃったけど、これ削減だわ)」
営業「じゃ売ってくるわ」
・・・SDR(2TV)発売

営業「アカン、全く売れへんで、こら失敗やわ」
開発「え、まぁええやん、こっちはVFRとNSRの対策せなアカンで一杯やし打ち止めで〜」 
工場「FZRとTZRで工場一杯やし、販売止めてくれると嬉しいわ」
営業「んじゃ〜カタログ落ちな」
GK「まぁええか、やりたい事は出来たわ(満足感)」
営業「ま〜NZ250よりナンボかマシですわ」
開発「カワサキか・・・」
GK「カワサキか・・・」
こうしてSDRはたった一年だけ販売するという短命さで終わりましたとさ。

上記仮説が正しければ、、、SDRのタコ無しこそが真のSRXの姿なのでは無いかと、ここに新説を唱えるのです。

おわり。