ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(1/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(2/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(3/2)
ピストンを綺麗に焼かない為の点火方法の考察
窯焼き名人。
世間にはそう呼ばれる人達が居て、イベントがあると窯でアルミの焼き物を作成し、その出来栄えに一喜一憂する。
私も前回その第一歩を踏み入れました。
しかしながらまだまだドシロウトの域を出ないので、この点について今後研鑽すべく考察を加えます。
これ最後の最後で強引に点火時期の話に辿り着きます。
以下、全部戯言、自分の考察メモですから、あんまり信じないで下さい。
これが前回自分がやっちまったピストンです。
シリンダー側です。
シリンダー側は分かり辛いですが、カスカスになったオイルと、アルミが付着してます。
こんなもんまだまだドシロウトの域で御座います。
真の匠、Takeyan先生ともなりますと、SUGOを「僅か一周」するだけでこのレベルです。
ピストンのトップはグダグダ、パックリと割れまで入れております。
流石に匠。まさに粉砕。
窯を殆ど痛めずにピストンをここまで焼き上げる事が出来るのです。
既に次のアルミ作品を仕込んで次の作品に備えるべくエンジン始動しているあたりが名人たるゆえんです。
私はまだ青二才なので、オイルポンプの不調によるオイル切れという誰でも出来る方法を使いましたです。
SUGOでエンジンが焼けて止まった、お二人の窯焼き名人Takeyanさんと小菅さんの空冷号の焼け方は、不思議とシリンダーは然程痛んで無いという結果だそうです。
さて、突然ですが、ここでハンダコテの話を少し。
綺麗にハンダを乗せる為のコツですが、ハンダコテの熱でハンダする部品に十分な余熱を与える事です。
冷たいままだとハンダは全く乗らず、イモハンダと呼ばれる不良ハンダになってしまいます。
冷たいものと熱いものをくっつけても融着しない様です。
またもや話を変えます。
有名な紙鍋です。
紙で出来た鍋に火を掛けても、紙が燃えないという、外国人が「アメージング!」とたいそうお喜びになられる日本の有名な調理道具ですね。
よく液体窒素の中に手を入れても、一瞬ならば蒸発する気体のバリアでヤケドしないとか、チンチンに熱したフライパンの上に、水滴を落としても蒸発せずに玉になって転がる(ライデンフロスト効果)とか、そういう話がありますが、どれも似たようなものですかね。
では閑話休題。
自分が焼いたピストンは、オイルが切れた状態でピストンとシリンダーが接触し、摩擦熱でアルミが溶けてしまい、融着を起こしたと考えられます。
シリンダー側も異常な熱を持ち、ピストンのアルミがべったりと乗ってしまい、恥ずかしながらシリンダー側にもダメージを与えてしまっています。
一方、名人達はピストンのダメージが殆どで、シリンダー側はあんまり問題がありません。
この差はなんなのかと考えていました。
私の場合、焼き付きの原因であるアルミ融解、その熱源がオイル切れと想定しています。
シリンダー内壁についていた煤の様なオイルの残骸からしても、間違いないでしょう。
水温は70度程度だったと思います。
摩擦熱でシリンダーとピストンが協調して温度を一気に上げて、融着、一気にロックのイメージ。
一方、名人の焼き付き現象は共通してロックをしている感じではありませんでした。
実際SUGOのメインストレートをTakeyanさんはゲボゲボ言わせながら走りきってます。
推察するに、燃焼室表面の境界層破壊によるピストン融解、そこから始まるピストン崩壊なんではないかなと仮説付けてみました。
境界層の破壊ですとアルミピストンのみが温度が上がっていくという形になるので、温度差が大きく、アルミがノリの様にシリンダーに付着する事も無いというのが仮説の根拠ですが、まぁ適当です。
実際、Takeyanさんのピストンは1stリングの固着が見られたそうで、シリンダー上部が異常に高熱になった可能性は高いです。
実際は焼きついたときの状態を良く観察しなければ分かりませんが、無いこともないかなと。
さて、境界層破壊ですが、これの原因で研究されているのがプレイグニッションとデトネーションという現象で、どちらにせよプラグで点火された「ガソリンの燃焼」では無く、「プラグ以外から異常に発火した爆発もしくは燃焼」との事です。
この異常点火の原因は様々ですけれども、ガソリンが自ら点火する理由だけ言えば、
(1) 高圧過ぎる為、混合気が高温になる為
(2) 高温過ぎる物体がある為(煤とか)
になります。
異常点火が発生すると、その点火による燃焼や爆発による衝撃波がシリンダーにぶつかり、キンキンとかカリカリとかの、いわゆるノッキング音が聞こえるとの事です。
見たこと無いから知らないけど、メーカーや大学の実験室では、高圧に耐えるガラス製のシリンダーヘッドで確認したり、最近はコンピュータによるシミュレーションで解析したりしている様です。
その辺は随分昔に買ったMotorFanに書いてました。
Amazonで見る
この本は日経コンピュータの様にオッサンがさらっと概要を得る為の本ですが、私もオッサンなのでさらっと情報を得るには役に立ちました。
この異常点火の一番の問題は、シリンダー内部を異常な高圧にしたり、熱境界層を吹き飛ばしてしまったりするとの事です。
シリンダー内部の火炎温度は2000℃以上。
アルミ融解点を3週くらいしてますので、この熱境界層が無ければトロトロに溶けますね。
しかし溶ける前にピストンの上部、下部の温度差、高回転時の数トンの加重が加わって、なおかつ2ストですから裏から冷たい混合気に晒され、ピストンは変形、崩壊。
考えられるシナリオはこんなところでしょうか。
ノッキングって怖いですね、という事になるのですが、HRCのマニュアルにはデトネーションが少し起こる位で調整せよとあります。
HRC:デトネーションカウンターから見るセッティング
ノッキングが発生する原因が高圧、もしくはそこに起因する高温のものだとして、やはりその付近は最大出力が出ている付近という事になります。
HRCによれば2~3回/km位で調整してね、という事なので、まぁその位なら余裕なのでしょう。
綺麗な焼き物を作るには当然ながら、更にデトネーションの回数を多く増やしてピストンの変形を伴うような高温をピストントップに与える必要がありそうです。
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(1/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(2/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(3/2)
ピストンを綺麗に焼かない為の点火方法の考察
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(2/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(3/2)
ピストンを綺麗に焼かない為の点火方法の考察
窯焼き名人。
世間にはそう呼ばれる人達が居て、イベントがあると窯でアルミの焼き物を作成し、その出来栄えに一喜一憂する。
私も前回その第一歩を踏み入れました。
しかしながらまだまだドシロウトの域を出ないので、この点について今後研鑽すべく考察を加えます。
これ最後の最後で強引に点火時期の話に辿り着きます。
以下、全部戯言、自分の考察メモですから、あんまり信じないで下さい。
これが前回自分がやっちまったピストンです。
シリンダー側です。
シリンダー側は分かり辛いですが、カスカスになったオイルと、アルミが付着してます。
こんなもんまだまだドシロウトの域で御座います。
真の匠、Takeyan先生ともなりますと、SUGOを「僅か一周」するだけでこのレベルです。
ピストンのトップはグダグダ、パックリと割れまで入れております。
流石に匠。まさに粉砕。
窯を殆ど痛めずにピストンをここまで焼き上げる事が出来るのです。
既に次のアルミ作品を仕込んで次の作品に備えるべくエンジン始動しているあたりが名人たるゆえんです。
私はまだ青二才なので、オイルポンプの不調によるオイル切れという誰でも出来る方法を使いましたです。
SUGOでエンジンが焼けて止まった、お二人の窯焼き名人Takeyanさんと小菅さんの空冷号の焼け方は、不思議とシリンダーは然程痛んで無いという結果だそうです。
さて、突然ですが、ここでハンダコテの話を少し。
綺麗にハンダを乗せる為のコツですが、ハンダコテの熱でハンダする部品に十分な余熱を与える事です。
冷たいままだとハンダは全く乗らず、イモハンダと呼ばれる不良ハンダになってしまいます。
冷たいものと熱いものをくっつけても融着しない様です。
またもや話を変えます。
有名な紙鍋です。
紙で出来た鍋に火を掛けても、紙が燃えないという、外国人が「アメージング!」とたいそうお喜びになられる日本の有名な調理道具ですね。
よく液体窒素の中に手を入れても、一瞬ならば蒸発する気体のバリアでヤケドしないとか、チンチンに熱したフライパンの上に、水滴を落としても蒸発せずに玉になって転がる(ライデンフロスト効果)とか、そういう話がありますが、どれも似たようなものですかね。
では閑話休題。
自分が焼いたピストンは、オイルが切れた状態でピストンとシリンダーが接触し、摩擦熱でアルミが溶けてしまい、融着を起こしたと考えられます。
シリンダー側も異常な熱を持ち、ピストンのアルミがべったりと乗ってしまい、恥ずかしながらシリンダー側にもダメージを与えてしまっています。
一方、名人達はピストンのダメージが殆どで、シリンダー側はあんまり問題がありません。
この差はなんなのかと考えていました。
私の場合、焼き付きの原因であるアルミ融解、その熱源がオイル切れと想定しています。
シリンダー内壁についていた煤の様なオイルの残骸からしても、間違いないでしょう。
水温は70度程度だったと思います。
摩擦熱でシリンダーとピストンが協調して温度を一気に上げて、融着、一気にロックのイメージ。
一方、名人の焼き付き現象は共通してロックをしている感じではありませんでした。
実際SUGOのメインストレートをTakeyanさんはゲボゲボ言わせながら走りきってます。
推察するに、燃焼室表面の境界層破壊によるピストン融解、そこから始まるピストン崩壊なんではないかなと仮説付けてみました。
境界層の破壊ですとアルミピストンのみが温度が上がっていくという形になるので、温度差が大きく、アルミがノリの様にシリンダーに付着する事も無いというのが仮説の根拠ですが、まぁ適当です。
実際、Takeyanさんのピストンは1stリングの固着が見られたそうで、シリンダー上部が異常に高熱になった可能性は高いです。
実際は焼きついたときの状態を良く観察しなければ分かりませんが、無いこともないかなと。
さて、境界層破壊ですが、これの原因で研究されているのがプレイグニッションとデトネーションという現象で、どちらにせよプラグで点火された「ガソリンの燃焼」では無く、「プラグ以外から異常に発火した爆発もしくは燃焼」との事です。
この異常点火の原因は様々ですけれども、ガソリンが自ら点火する理由だけ言えば、
(1) 高圧過ぎる為、混合気が高温になる為
(2) 高温過ぎる物体がある為(煤とか)
になります。
異常点火が発生すると、その点火による燃焼や爆発による衝撃波がシリンダーにぶつかり、キンキンとかカリカリとかの、いわゆるノッキング音が聞こえるとの事です。
見たこと無いから知らないけど、メーカーや大学の実験室では、高圧に耐えるガラス製のシリンダーヘッドで確認したり、最近はコンピュータによるシミュレーションで解析したりしている様です。
その辺は随分昔に買ったMotorFanに書いてました。
Amazonで見る
この本は日経コンピュータの様にオッサンがさらっと概要を得る為の本ですが、私もオッサンなのでさらっと情報を得るには役に立ちました。
この異常点火の一番の問題は、シリンダー内部を異常な高圧にしたり、熱境界層を吹き飛ばしてしまったりするとの事です。
シリンダー内部の火炎温度は2000℃以上。
アルミ融解点を3週くらいしてますので、この熱境界層が無ければトロトロに溶けますね。
しかし溶ける前にピストンの上部、下部の温度差、高回転時の数トンの加重が加わって、なおかつ2ストですから裏から冷たい混合気に晒され、ピストンは変形、崩壊。
考えられるシナリオはこんなところでしょうか。
ノッキングって怖いですね、という事になるのですが、HRCのマニュアルにはデトネーションが少し起こる位で調整せよとあります。
HRC:デトネーションカウンターから見るセッティング
ノッキングが発生する原因が高圧、もしくはそこに起因する高温のものだとして、やはりその付近は最大出力が出ている付近という事になります。
HRCによれば2~3回/km位で調整してね、という事なので、まぁその位なら余裕なのでしょう。
綺麗な焼き物を作るには当然ながら、更にデトネーションの回数を多く増やしてピストンの変形を伴うような高温をピストントップに与える必要がありそうです。
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(1/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(2/2)
ピストンを綺麗に焼き上げる方法の考察(3/2)
ピストンを綺麗に焼かない為の点火方法の考察
コメント
コメント一覧 (4)
…と某豆腐屋のオヤジも申してたような…!?(笑)
こないだ塾長亭に遊びに行った時、机の上に前回焼いたピストンと今回焼いたピストンが並べてて、全く同じ壊れ方してて二人で爆笑してましたwww
いやつまりはあんまりやり過ぎないようにつー話で
1万1千回転ですよ〜
オマケ話があるので、また読んでみてください。