これは個人的な活動記録なんで、この通りやっても動かんとかそういうのは聞けません。

2017年05月06日 RCDI RZ250R(9): 俺は連休中に何をやっとるねん
の続き

今日はパチロクさんがやってきてRZ250R(29L)でRCDIを動かしてみようってな話。
まず最初にオシロやらテスターやらを使って電装系を調べて回る。

まず一相三線方式のチャージコイル、つまりCDIの充電用の電源。
赤、茶、緑の線が出ている。
想定しているものとやや違っていて、緑線が地絡していなかった。
エンジン乗せ換えという事でもしかしたらアースがされていないのかも知れないんだけれども。
これは地絡させても問題ないのでRCDI側で地絡させる事とする。

次に一相二線方式のピックアップコイル。つまり信号線。
これも地絡はしてなかったが、RCDI側で地絡させる予定。
ちなみに純正29LのCDIだとピックアップコイルの片側を地絡させると動作しなかった。

純正CDIのコンデンサ容量はYPVSへつながる黒黄線とオレンジ線間をテスターで測ると2.0uFというのが分かった。

タイミングライトを当て、点火時期を調査。
アイドリング〜3000rpm位までは17度固定、そこから25度位?まで上がり、徐々に遅角する。
マニュアル通りだった。
17度点火は恐らくマイナス波形を使い、ある一定の回転数になると35度からのアナログ進角と思われる。
あ〜もしかして・・・
純正の29LのCDIってコンデンサが3つ積まれてたりして。
実際、低速側、高速側っていう言葉の意味がようやく分かった気がする。
茶緑間(低速側?)っていうのは200Vで、進角17度つまり白緑線でサイリスタをオンにして、その後のアナログ進角は倍電圧にした赤緑間(高速側?)でアナログ遅角回路が入っている、そんな寸法じゃないですかね・・・。
CDIの点火自体は150Vもあれば動作するんですが、回していくと充電電圧が落ちる。
なので倍電圧された高速側の点火回路が動作している。多分。


純正で波形を取る。
チャージコイルの赤緑間。
400V位出てる。
IMAG001
うーん、今考えると不思議。後述。
RZは一回転で(3回チャージして放電)(×2)のサイクルらしい。

茶緑線。200V位。
IMAG002
これも不思議なんだよね。
そもそもだけど、緑-茶と緑-赤って殆ど同じ抵抗値なんよね。
IMG_4710

一相三線発電機は緑-茶(中間)-赤の線で、コイルは緑赤で結ばれる。
緑-赤で300Ω位。これがコイル両端の抵抗値
緑-茶で290Ω、茶-赤で10Ω位。
つまり、赤と茶ではほぼ同じ電圧が出るはずなんです。
どっちかって言えば、無理やり三線にしているだけの様な感じもする。

なのに緑-赤で電圧が緑-茶の倍になるって事は、緑-赤間でCW回路による倍電圧化されている様に思えます。

まぁOK。
次にピックアップコイル。
SDRとかと逆で、最初に白緑→白赤線方向に電流が流れ、次に白赤→白緑で電流が流れる。
IMG_4711

実測で大体だけど、白赤がBTDC35度、白緑が17度で正電圧が掛かる。
大体360度を分周したものが値として出てくるもんなので、18-1度、36-1度で設定されているんだろうと思う。わからんけど。
その理屈で言えば、SDRの71度で信号が来る部分は、72-1度なんだろうなと。


ピックアップ側の信号を幾つかの回転数で測定。
IMG_4712

1,000rpmで15V、5,000rpmで35V位だったので、ザックリと9,000rpmで55V位か。
固体差やレッドゾーンまで考えると、MAX80Vを見ておけばいいか。
抵抗は820Ωをそのまま使えば、MAXで100mAのパルス、アイドリングで18mAのパルスと程よい感じ。
TLP621の定格内ワット数に収まると思う。

あーだこーだしながらRCDIに取り付ける結線を作り始める。
29l


29L用に果たして動作するのか。
IMG_4713

チャージコイルは緑-赤を利用。
SDRの黒(GND)〜赤黒(充電)線に接続する。

YPVSは線色が違うので色々と調査して結線。一か所だけ色が違っていた。
29L-SDR
黒赤-黒赤
黒黄-黒茶
黄青-黄青
白赤-白赤
白黒-白黒
まぁ後は同じ。

まずはYPVSだけ結線して電源ON。
うぃーん、うぃーん。
OK。
この時点でパチロクさんはえらく喜んでいたんだけど、この辺はSDRと変わらない。
勝負はこれから。
またポチポチと結線していく。
チャージコイルは緑をGND、赤をチャージに使う。
ピックアップ信号は35度を使うので、白緑をGND、白赤をマイコン側フォトカプラに投入。
つまりSDRと逆に配線する。
アナログ点火はしないので、フォトカプラは半分しか使わない為、4ピンの一個口を利用。
8ピンは逆に不要というかあるとまずい。17度でアナログ点火されてしまう。
これもあらかじめパチロクさんが予測して用意していた。流石です。
結果として自分はオシロ使っただけやんね。

んで、連休の間に作っていたファームウェアを手持ちのRCDIに投入。
PC側の設定ソフトもピックアップ信号のタイミングが71度から35度になるのでその辺も変更。
MAP0には10度固定進角、MAP1には20度固定進角。

最終的に配線を確かめて、いよいよ。


あっさりエンジンは掛かる。
パチロクさん、大喜び。
まず初爆できた。そして安定してアイドリングできた。

ところがタイミングライトを当てると、MAP0/1で25度、30度位進角している。
どこか計算ミスをしている。
ちょっと設定値を変えてさらに調整。
うーん、どうもPC側に計算ミスが含まれている模様。
IMAG003
ピックアップ信号をみても、やっぱりちょっとおかしい。
青がフォトカプラからでるピックアップ信号で、黄色がサイリスタゲート信号。
上記の図だと、一周大体8msで回っている状態で1ms後に点火。
二気筒なので16ms周期として770rpm位か。アイドリング低いね。
BTDC35度でピックアップ信号が来るとした場合、BTDC22.5度で点火している計算になる。
RCDIのマイコン側は設定されたタイミングで発火するだけなので、設定している側、つまりPCの設定ソフト側に問題がある。

そしてオシロでコンデンサの電圧を測定すると、アイドリング200V、吹かすと150V位。
純正はこの倍の電圧がかかっていたので、やっぱり純正CDIには倍電圧回路が入っているよね。


さてさて、懸念していたSDRで発生しているアイドリング時のふらつきなんだけど、RZの場合は非常に安定している。
何が違うって訳でも無いので、結局SDRもプラス波、つまりBTDC7度で発生する2次波は使わなければ綺麗に安定しそう。
いずれ外して試してみたいと思います。はい。


まぁとりあえずエンジン掛かったので片づけて、亀有駅のコメダ珈琲で反省会。
色々と話は盛り上がる。
ステートマシーンの説明とかして、よりRCDIのファームウェアの理解をして貰えたと思う。
パチロクさんは、全ての記事を読んでいるし、ソースコードも自分で理解しようと努めている。
なので分からない事も的を得ていて、そら確かにわからんよね、という部分ばかり。
VisualBasic位しか触ったことないという事だけど凄いなぁと思います。
PC側はC++を使っているのでちょっと苦労されている気がするけど、自分だったC++の一部しか使ってないし、そもそも最新のC++の全部機能を使えている人なんて殆ど居ないです。

残った課題は2点。
1) PC側の設定ソフトが問題を抱えている。
2) 倍電圧回路が必要

1) についてはコメダ珈琲での反省会で気が付いた。既に修正済み。
2) については倍電圧回路なんて緑-赤の間にコンデンサ一丁とダイオード一丁でできますから、カプラに割り込ませる形でOK。
どちらも大した話じゃないので修正されるでしょう。

パチロクさん曰く、これでブラックボックスの部分が無くなり、電装が不安になってきていた29Lも当面大丈夫とのことで、本当に喜んでたのが嬉しい。
本人曰く「涙でた」という事でしたが、あそこまで研究していたんだから、まぁ動いて当然。
ちゃんと計算して設計したものは動作するって事ですねという話でした。

パチロクさん曰く、純正YPVSの箱に実装したいと言っていたので、ゆくゆくはコンパクトなRCDI for RZ250Rが動作する事になるでしょう。
残件の2点は簡単なのでパチロクさんの宿題って事で・・・。

早くソースを見たいと言っていたので、暫定ですが一式をアップしておきます。
http://urana.info/rilassaru/pic/20170507rcdi232-beta.zip

パチロクさん、今日使ったソフトに、既に1000rpm時の基本時間をextra_configで読み込めるように修正してあります。お使いください。
自分は実機が無いんでこの辺で。SDR界隈に戻ります。
今日は面白かったので、またやりましょう!
無事、YCPから帰ってこれたら・・・。