過去の基板を処分中なので、事前に記録を残しておきます。


Version1の頃。
SDR用のCDIですけど、最初に8ピンのピックでSDRのエンジンを掛けてから4年。
今思えば8ピンでYPVSとCDI点火を同時に行っていたのは良い思い出で、今のUSB版よりも自分的には満足度は高いものです。
ノーマル代替ならこれで十分で、いつかもう一度きっちり作ってみたいと考えています。
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当たり前ですけど、手組み。

PIC16F1455でUSB版を作り始めてからは3年目。
これがVersion2。

この頃から、FusionPCBやElecrow等、格安基板製造業者が出てきて、手組みはしてません。
良い時代になりました。
特にFusionPCBは個人の電子工作の世界を変えた気がします。

8ピンマイコン版は殆ど捨ててしまったのですが、Version2.0は今でも当時の基板が残ってました。
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なんだかんだと言っても部品代は結構しますので、開発中は部品の使いまわしをしていて、これも使える部品は既に取り去られてます。

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このころはまだトランジスタを1815と1015で構成してましたので部品点数が多いですが、基本的なレイアウトは余り変わってません。

この頃から、SUGOやらテイストやらで島田優選手が走り回ってくれています。
同時にVersion2.0と2.1はヤンタケ東北研究所で生産されたRCDIが複数の車両に搭載されています。
基本的な信頼度はこの辺で確立されてきています。

Version2.1。

Version2.2系は大きな変更があり、基板もソフトウェアも地味ですが大きく改善されました。
2015年12月06日 【V2.2纏め】SDRilassaruCDIv2.2 Rel.1
このVersion2.2のレイアウトは、基本的に今のOSR-CDIまで引き継がれているものです。
このころ、ソフトウェア、ハードウェアの両面で主にノイズ対策に力が入っています。

その後2016年に紆余曲折あって、Version2.2.2まで。
基板発注は色付きが無料のElecrowに変更。
細かい小改造が入っていて、随分長い間これで運用していました。
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ほぼほぼこれで完成。

次に作ったのは、RCDIを純正YPVSの箱に入れるというもの。
Version2.3。
これは半年位使っていました。
USBもタイプAからミニBに移行したのはこの基板から。
SDR30周年オフ会のじゃんけん大会の景品にしたので、今は北海道のオクセさんが使っています。
もう一丁はタイのYoさんが使っています。

なぜ自分が使っていないのか。
それはこの後パチロクさんが登場したから。


2017年の桜が散るころ、パチロクさんから連絡がありました。
自らRZ250R用にRCDI関連のブログを読み、独自に研究を重ねた結果、RZでも出来るだろうという事でお声がけ頂きました。

こちらでソフトウェアを微修正した後は、パチロクさんはほぼ毎日愛車RZを弄り倒してました。
この人が楽しそうに汗をかくので、こちらもパチロクさんのテストが止まらない様にと、結構良いピッチで改造が進んだと思います。

パチロクさんは「質問」はしてきません。「相談」をしてきます。
自分で調べ、自分で考え、色々と仮説を立てた上で課題を明確にし、相手に意図を説明し、対案を提案します。
こちらも考えて提案し、「議論」ができます。
自分はGoogle検索窓じゃないので、これは人間らしいとても楽しいやり取りだと感じます。

完成したRZ版。
その結果をまとめた基板はこれ。
Version2.4.0。
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この基板を持っている人は2〜3人程度しかいない気がします。
開発中の物を手に取るチャレンジャーな人達です。

まだタイプAのUSBですが、これは実装のしやすさを優先した結果です。
ソフトウェアは二気筒に対応する為に最適化が行われ、SDR版としても随分改善されました。
基板は14ピンマイコンをそのまま使って、ハンダが出来れば誰でも容易に組み立てられるレイアウトを念頭に、部品点数の削減、基板の見易さを重視しています。
トランジスタを垂直に立てて装着するような部分は、ハンダが大変なのですが、代わりに誰が作成しても自然と振動に強い作りになる様に考えた結果です。
まだ600V耐圧の良い部品使ってました。
このころから月猫さんも混じって多品種化が始まりました。


パチロクさんが連絡をくれてから丁度半年。
2017年10月、OSR-CDI Version1.0.2。
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書き込みソフトも大きくリファクタリングをして、無理やり拡張していた部分を綺麗にしています。
細かい細かい修正が入っていて、制作のしやすさが改善しています。
一番大きな変化は、600V耐圧とオーバースペックだった部分を400V耐圧として、パーツ代の低減を図っているところだと思います。
これはパチロクさんが入手が容易な指月の400V耐圧の調達方法を確立してくれたおかげです。

ちなみにVersion1.0.0、1.0.1もありますが、あくまで実験用な要素があって封印。
Version1.0.2は、RCDI2.2.2から続くオーソドックスな基板。
RCDI2.2.2、2.4.0は未だにファームウェアもマップ書き込みソフトもOSR-CDIと互換性があります。

10月1日、しかし月猫さんからの指摘で、まさかの秋月でRN1201が販売終了が発覚。
代替部品が見つかったので良かったのですが、パーツリストは修正が入りました。
RN1201自体はまだどこでも手に入る様ですが、秋月で手に入るものをと台湾製の互換トランジスタに変更しています。

そしてその修正が入ったOSR-CDI1.0.3の基板がElecrowで製造中。
別に1.0.2と1.0.3に殆ど違いはありませんが、更に作りやすさを念頭に置いた細かい修正を入れてます。

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この半年はRZを初めて触ったり、R1-Zを触ったりと、本当に楽しい時間でした。
自分的にはずいぶん思い出に残る夏になったんじゃないかと思います。

また同時に、80年代後半のヤマハの2ストローク車が、CDIやYPVSで本当に困っている事を改めて実感もしました。
RZVなんかは台数も少なく中古部品が入らない様なので本当に苦労されている感じがします。
コンデンササイズが半分以下の1KTCDIを流用してますが、1KTが爆発的に売れてパーツが沢山あるからでしょうかね。


残念ながらオープンソースでリリースしている意義はまだ多くの人達に理解はされていないのかも知れませんが、RZで始まったデバイスが、TZRやR1-Z、RZVやTZR125、RZ125、DT200系で動作するのもオープンソースにしているからだと思っています。
純正電装を理解して、OSR-CDIの中身を知れば、大抵の対応は出来ますし、今後壊れたとしても再生も容易になります。

しかし、今後それらを進めていくのは自分では無く、そして個人でも無く、集合体、コミュニティである事を望んでいます。

今後OSR-CDIはVersion1.0.3で暫く寝かす事になります。
ソフトウェアの世界でいえばStable版を目指しています。


なので、今作っているアナログ入力4マップ版は別に個人的に遊んでるだけです。
出来上がる頃に前期型3MAに乗ってる人見つけて開発に協力して貰おうかな、とか思っています。
まぁまた暖かくなる来年ですね。