今年はなぜか、新たにSDRの事を記載するブログがいくつか出てきていて、超絶不人気車、製造台数極小のSDRにゆかりのある人間としては良い年でした。

その一つ、white-buellさん(以下WBさん)のブログと、その面白かった内容について少々。
暫くBuellの記事になると思いますが、17年後半のこのブログのSDR熱は半端なかったです。


このブログではこの半年ほどSDRのレストアからサーキット走行等が記述されてきています。
何が面白いのかっていうと、七転八倒しながら、なんだかんだともがきながら、SDRのサスペンションをセットアップしていく様。

その結果は、幸いな事に実際にお会いして体感する事が出来ました。
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この車体に跨ってグイグイと沈み込みをさせた瞬間に、あぁ、自分のSDRより良いわコレ、と思いました。
スカっと前後が綺麗に同調して落ちていくサス。程よい減衰力。
本当はちょっとでも試乗させて頂きたかったんですが、クラッチが少々滑っていたようで、あきらめました。
ま、そちらは既に修理されているので良いとして、11月頃からのブログのお話。

WBさん、最初はSDRの純正サスをサーキットでなんとかしようとプリをグリグリ弄ってたんですが、そのうちこれじゃ駄目かもと、強化する道に走ります。
ある日、オークションでSRX250のサスペンションを見つけ、自分と同じSRX250のサスに換装します。
実際にSRX250のスプリングへ換えて試走してみた時の第一印象は、微妙〜にスプリングが強くなったことよりも、フロントフォークの動き方がゆったりした方向へと変化した印象の方が強かったんです。
チープさを感じながらもそこに面白さやエキサイトメントを感じていた、いわゆるSDRらしいハンドリングと比べると、ダルな印象を感じ取ってしまい…スプリング換装は失敗だったかな〜と直感したくらいです。
が、その後に乗り込んでみるとその差は、余裕がある、路面ギャップのいなし方に安心感の向上が見られる、という好い方向の印象へと書き換えられて行ったのですが…人間の一時的な感覚って絶対ではないという一例ですね。
らせんの考察2 自由長 より(2017/11/9)
この辺まではまだSDRの純正サスペンションがガシャガシャ動くのは、ヤマハの、SDRのセッティングだと思っていたのかも知れません。

自分はこれを読んで、この人はきっと
「チーム70kg超」のメンバーに違いない
と思ってました。
この時「フロントフォークの動き方がゆったりした方向へと変化した印象の方が強かったんです」というあたりに、流石サーキットや峠を現役で走り回っている方。
実際は、サスペンションのストローク量を意味のある区間に設定した結果、短い距離でガシャガシャ動くサスペンションから、長い距離でスーッと動くサスペンションになった事が、この感覚に繋がっているんだと思います。
この後、WBさんはニエガレさんのブログや、ヤンタケさんのサスペンショングラフなどを参考に、どんどん考察を深めて行きます。

この後「デブ用YSSリアサス」に換装されます。
SRX前足にYSSの10kgスプリング。この時点でほぼ自分のSDRと同じ構成になります。
この辺から自分も本当に楽しみにWBさんのブログを読んでいました。
スプリングレートを上げるとサスが動かなくなる、という、ふわっとした誤った認識が蔓延するなかでWBさんは、まず自分の感性をストレートに記述しています。
ふおっなんだこれ…リアタイヤがめっちゃ動くようになってる!
接地感、安心感が全然違う〜ダンピングをちょい締め込んで最強から12段戻し、さらに良い感触!!
これは…免許がアブないかも( ̄(工) ̄)
宮ヶ瀬までのテストラン、ペースが上がる上がる。
フロントフォークが負けるかもと心配してましたが、お山では杞憂に終わりました。
以前と比べて何から何まで良い感じ〜
yss リアサスペンション 大きい人用 より(2017/11/11)
WBさんも最初は「SDRのサスはピーキーなチューニング」という認識だったと思うんですが、この時「ワイはチーム70堋兇笋辰燭鵑筺廚筏い付いた様子。
で、右の大きい人用、を買い直しました、フルヌードで80kg以上の人用との触れ込みでしたが…体重こそ72kgなうですが、SDRは開発時のライダー想定体重が60kgだった説などもあり…ううう、見栄張ったバチが当たりました( ;´Д`)
yss リアサスペンション 大きい人用 より(2017/11/11)
スプリングレートを上げるとサスが動く、そんなことはあるまいと普通は直感的に考えてしまうのでしょうが、WBさんは認知バイアスの虜では無かった様です。

そしてその後、何日か掛けてその考察を書いていきます。
相当苦悩してもんどりうつ様子が読み取れますが、この辺りが山場。
プリロードを入れる理由、弊害、等も一気に捲り上げていきます。
ダブルレート、シングルレート、それぞれを考察して、ついにオリジナルのフロントフォークスプリングの発注にまで至ります。
危うく…それよりもっと強い0.55kgf/mmで闇雲にオーダーしてしまうところだった…とそこへカラーを10mm延長して0.40kgf/mmのスプリングをセットしたと想定してみたのが黒線。
底突きするまでのストローク量に限定すれば、0.40でもプリロード足したらSDR純正ノーマルスプリングより強くなるのか…グラフへ線を重ねてみるごとに頭の中にあった無根拠な思い込みがガラガラと音を立てて崩れていきます
フォークスプリング オーダー仕様決定 より(2017/11/20)
思い込み、走り込み、理屈、発見、修正、解決
このサイクルがグルグルと回る様子が、Facebook、Y!ブログで展開されていく様子は、一読者としては大変楽しいものでした。
最終的に、「スプリングレートを高める事によってより良く動くサスペンション」という理解への遷移は自分も大変勉強させて貰いました。
けれど、走行時の「使えるストローク」は間違いなく増えていて、それは体感では「しなやかさと余裕」として感じ取れている
(中略)
作業をお願いした、かっこいいバイク屋さんにも試乗してもらった、発売当初からのSDR乗りな彼は体重60kgで…いわゆるSDR乗りの理想体重(笑)
さすがに前も後ろも彼には強いサスペンションとなるので、接地感については多少不満があるようだったけど…奥で踏ん張る感じが良い、ノーマルよりずっとしっかりしたフロントフォークになってる、イケてる、と満足げ。
そう、「奥」を感じ取れるような実質ストロークが生まれたのだろうね、ノーマルよりも
0.45kgf/mmオーダースプリングインストール より (2017/12/03)
WBさんは、なんとなく感じていた「フロントフォークの動き方がゆったりした方向へと変化」をたった一か月で理論的な裏付けを元に検証しきってしまいます。
お陰様で何となく自分も感じていたことがここで明確にされました。


75kgの体重は60圓梁僚鼎1.25倍という事実。
SDRのサスペンションに採用されているスプリングレートは、チーム70kg超のメンバーには弱すぎる事は明白です。
エアばね成分で底付きはしませんが、エアばねはあんまり使いたくないですよね。
体重が25%も違えば軽量なSDRに対する影響力は果てしなく大きいと言えます。
車重が軽い一人乗りのオンロード車であるSDRは、かなりピンポイントでセッティングされています。
サスペンションは「良く動くポジション」をあの手この手で調整、つまりチューニングする事で間違ってはいないんだけれども、どうやったところで純正の軟弱スプリングレートでは、この「良く動くポジション」は座った時点で既に大きく潰れてしまっているし、コーナリング中やブレーキを入れた際には更に潰れてしまいます。つまり余裕が無い。これを改善するにはまずスプリングの変更が必要です。

ともあれ、WBさんが今回検証した内容、またその過程は、今回本当に面白かったと思います。
自分の中で面白いブログっていうのは、課題と解決、過程の苦悩が書いてある物語です。
よくよく考えてみれば水戸黄門のTVドラマと同じなのかも知れませんね。
読んでいる方もハラハラしながら事の推移を見守る感じ。
今回の一連の記事はまさにそんな感じでした。

WBさん、次回のパワーチェックリベンジも期待してます。