アッという間に10月も半分、すっかり秋になりましたなぁ。
ダラダラと進んできたSDR専用デュアルファンネルも、一定の状況が見えて来たので纏め。
※これはあくまでレース用のパーツですから、お試しになる場合は必ずサーキットで。

SDR専用ファンネル

2018年07月17日 SDR:3Dプリンタでファンネル作り、できへんかな
から始まったファンネル作り。
SDRのエアクリーナーボックスにピッタリと収まる様にしつらえたもの。

右から鶴さんのファンネル、3Dプリンタ初号機、二号機。
IMG_9681


形状は基本的には以下のページにある資料を参考に制作。
http://bradthebikeboy.blogspot.com/2014/06/inlet-trumpet-design-and-inlet-length.html
VizardVstack001a
これを見ると、ファンネル端面のロールバックサイズが最重要って事になる。
その次に7度〜10度のテーパー形状。
管長は想定通りで、低回転側に振るには相当長くとらないと駄目な事が分かる。
intleng

後はSDRレーサーのこの動画。

空気の流れが見えて便利な動画。

ファンネルは長いほど慣性効果が発生して低速に効くという事なので、長く細いファンネルを、更に短いファンネルと組み合わせてデュアルファンネル化。
fun

高速側ファンネルと低速側ファンネルの面積比は2:1。
funnel001
双方のファンネルから出てくるエアのベクトルをなるべく揃えてから合流させる為に二重管になっている。
更にボルテックスジェネレーターを装着し、合流地点での乱流が低減されるようになっている。
(実際そうなっているかどうかは知らんけど)
IMG_9551

装着効果

SDRにファンネルを付けた際の結果が、複数ユーザーから上がってきているので考察を一旦纏めておく。

シングルファンネル
・プラグが白くなる
・振動が減る
・MJを上げても上げても薄い感じがする
・キャブセッティングしていなくても出力が上がる

デュアルファンネル
上記に加えて
・パワーバンドが上下に広がる
・振動が更に減る

ここまでが各人だいたい共通の症状。
なぜこうなるのか。

空燃比調整の経緯

ファンネルを付けると、プラグが白くなり、エンジンの振動が少なく回っていく、一般的に薄いと言われる症状が出る。
よく言われる薄回りの様な感触。
バァァッとふけ上がるのではなく、すーっと回転が上昇する。
パルス感が無いので何となく力が無い印象を受ける。

メイン系の燃料を足していくが、ファンネル無しの時の様に症状にあまり変化は出ない。
プラグも白いまま。
ファンネルを外すと濃すぎて回らない様な状況でも、ファンネル付きだとそんなに悪い感じがしない。
例えばMJを20番上げて280にした時、過去は濃過ぎて街乗りも厳しかったけど、ファンネルを付けると普通に走り、感覚的にはちょっと濃い目かな、というレベルだった。
プラグの色もようやく白から茶色くなった位。
MJを上げていくと振動が増えて、パワーアップした様な感覚を覚える。

しかしその後色々と模索した結果、これは誤りだったと分かる。

電子制御式キャブレターを使って走行中に手元で燃調を調整して調査したところ、ファンネルはどうやら燃料の濃い部分を相当なレベルで呑み込んでしまう事が分かった。
なかなか燃調が濃くなった現象が出ないので、どんどん濃くしてしまう。
実態としては出力は落ちていく。
落ちていくんだけど、それなりに走ってしまうのでなかなか気が付かないまま。

ファンネルを装着した場合、まず燃調が薄くないのに薄く感じてしまう。
そして濃いのに濃く無い様に感じてしまうようだ。

それを踏まえて今度は薄くしていくと、以下の様な症状が出る。
・プラグはより白くなる。
・振動は減る。
・ステッピングモーター式の反応の良いタコメーターでも針はピッタリと安定する。
・出力が向上する。
・ピストンのカーボンが減る。
・若干水温が上がる

普通に考えるとこれらは薄い症状に思える。
しかし、同じアクセル開度で走行中に回転数が最も高い、つまり出力が最も出ているのが適切な燃調とすれば、この状況が適切なんだろう。
ステッピングモーターはかなり鋭敏に回転数に反応するので、高回転時でもエンジン回転数の乱れが見て取れる。
燃調を薄くしていくと、ある瞬間まるでアナログ式のタコメーターと見間違う様な滑らかな動きになる。これは初めての感覚で気が付くのに時間が掛かった。
ファンネルを付けて、ジワジワと燃調を下げると、あるところで突然出力が向上する。
だいたいのイメージはこんな感じ。
n001
まるでスイッチが入った様に変化する。
これはファンネルを付けていない時には気が付かなかったというか、発生しなかった現象。
これってどういうことかというと、燃調が濃過ぎて失火、不完全燃焼を含みながら走る状態から、燃調を薄くしていくと、ファンネル有りの方は完全燃焼の割合が一気に増えて、ファンネル無しの方はそれなりに減って行くような感じ。
n002

そこから分かったこと

つまりファンネル有りは、燃調の濃い状態を許容する範囲が大きいんじゃないかと想定する。
完全燃焼の割合が多いとした場合、以下の減少はそれぞれ説明が付く。
・プラグが白くなる→燃えカスであるカーボンが減る
・ピストンのカーボンが減る→燃えカスであるカーボンが減る
・水温が上がる→毎回きちんと燃えるから

さて、振動が減る現象なんだけど、これは実際に減っていないんじゃないかなって思う。
ただ、毎回シリンダー内部の燃焼が綺麗に行われると、毎回同じような振動が発生する。
これが出来ていないと、大きな振動が発生している様に感じる。
n003
ファンネル無しの状態は、不等間隔燃焼が発生しており、ナチュラルにクロスプレーン(ヤマハ)なのかビッグバン(ホンダ)になっている様な感じ。まぁこちらは完全燃焼しているので状況は全く違いますが。
車体とエンジンの共振状態という仮説は、同じ6000rpmで振動有り、無し状態がある事と、違う回転数でも発生するので否定されると思う。

エンジン音も同様で、一定の周波数で回る為か、高周波成分だけが残る様な音になる。
文字で書くと「バァ〜〜ッ」から「ファーーー」の様な感じになる。

パワーバンドの広がりについても、等間隔燃焼する可能性がファンネルにより高まる為に発生する状況なんだろうと思う。
ファンネル有り、無しの場合で、吸気の流れが変化するが、ファンネル有りの場合、無しの場合よりも流量の変化が少ないんじゃないかと推定。
空気の流れる量を模式するとこんな感じ。
n004
2ストロークのパワーバンド前後で不完全燃焼が発生しやすい状況が緩和される事によって、出力が上がり、パワーバンドが広がる様に思えるのではないか。
スムースに回ってパワーバンドが広がるという証言はこれが実態では無いかと想定します。

2ストローク車のアイドリング時に「デンデンデン」という音がするんだけど、あれはクランク数回転に一回、不等間隔で発生する不完全燃焼時の音。

それはこの動画を見ると分かる。
数回に一度、点火時期の遅れと共にパンと大きい音がしているけど、これが上手く燃焼していないところ。

巻き戻しして考える

自分がヘボなセッティングをしていた為に、振動が増えていただけだった様だ。
振動が大きいのが出力が出ているという事に、必ずしも直結する訳では無い。
これを学べたのはラッキーな事で、ファンネルと電子制御キャブレターのお陰。
いやそろそろインジェクション車に手を出せよって話なんかも知れんけど。

結局のところ、自分はずっと燃調が濃い状態で走っていた様だ。

ファンネルを生かす為には、「薄い感覚があるので燃調を濃くする」という概念を外した方が良い様子。
それよりは、薄い感覚になってしまうんだけど「綺麗に回る」状態を作る様にセッティングする方が良いようだ。

ファンネルのアドバンテージ

綺麗に燃焼する割合が増えるので、出力も上がるのは当然。
それ以上にファンネルは、燃調を薄くも濃くも出来る余裕が生まれる事が大きい。
空気の流れを一定の状態にして、まともに完全燃焼できる燃調範囲が広がる。
例えば燃調を濃くした際に、10%の割合で不完全燃焼していたのが、1%まで低減される様なイメージ。
これはキャブレターセッティングが楽になる事に繋がる。
キャブレターでスロー系を調整するとメイン系が、メイン系を調整すればスロー系が、、、というシビアな状況が緩和されると思う。

メイン系を上げる必要があるのは、これまで以上に上まで回るので、そこで燃料が足りないのであれば上げる必要がある位なのかなと思う。


ファンネルはまだまだテスト期間が足りないので、人におすすめ出来るものでは無いんだけど、こちらで同じものが手に入ります。

結果に責任は取れませんけど、試してみたい人はどうぞ。
壊れても知りませんが・・・。

ファンネルに関してはいったんこれにて終了です。