クロモリシャフトのインプレって殆どの場合、ポンと交換しただけのインプレしか無い。
そして賛否両論。
何が本当なんだろう。付けたら良くなるのかどうか分からない。
人間なので、高い買い物(キタコは3.3千円だけど)をしたので良くなったと思いたいところが、大きなバイアスになっているのだろうとは想像できるので、特にロジカルな根拠無く「良い」と言った話はなかなか信じがたい。
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アクスルシャフトって、平たく言えばちょっと長目のボルト。
ボルトって締め付けに必要なトルクの9割はボルト頭部の座面やネジ部の摩擦に消えるとの事で、実際にホイール内部のベアリングやカラー(赤色の部分)に掛かる力はほんの1割位なんだそうだ。
この辺はちょっとググれば沢山参考文献が出てくる。
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つまり、締め付けトルクを支配的に決める要素は、シャフトそのものの材質や、頭部座面の大きさや形状、部材の表面処理、各部オイルの付着具合、等。塗装してネジ山に塗料がかかってたりするのも影響するだろう。

ボルトの使い方、という資料を見ても、表面処理だけでも相当変わってくる事がわかる。
材質や形状が違うシャフトだと必要な締め付けトルクは大きく変わるって事なんだろうと想像できる。
ザックリいえば、シャフトを変えた後、ベアリングのセンターがきちんと出る様な締め込みトルクが分からない状態のままだと、正しい装着は終わっていないって話。

自分が使ってたクロモリシャフトだって純正とは違った座面だし、純正よりなんかツルツルしている(加工精度が良い)し、多分だけど同じトルクで締め付けると締結力は純正シャフトよりも強くなりそうな気がする。
するってーと、締結剛性が上がって乗り味も少しは変化しちゃうんじゃないかな。
一応念の為書いておくと、キタコのシャフトの指定締め付けトルクは純正シャフトと一緒。
自分はSDRにモンゴリのシャフトを流用しているので、また違った結果になるかも知れないけど。
ちなみにBITOのクロモリシャフトはネジ部にグリスを塗った状態で純正の7割位のトルクが指定されているらしい。

純粋に純正の鉄のシャフトとクロモリシャフトの材質の違いで比較する為には、その他の要因を排除する為に同じ力で締結力(≒シャフトが引っ張られる力)(≒カラーやベアリングが挟み込まれる力)が必要で、同じ締結力を得る為には、締め付けトルクは恐らく大抵の場合、純正指定のトルクとは大きく違うものになるのではないかと想像。

プラグ座面センサーの様な圧力センサーがあれば、純正のシャフトをサービスマニュアルに規定されたトルクで締めて計測し、クロモリシャフトを取り付けて同じ圧力になる様に締め付ければ良いんだろうと思う。
(ただしかし、旧車のアクスルシャフトってネジ部が大抵錆びてたり荒れてたり伸びてたりするから、どちらにせよあてにならないかなぁ)

ネジを締め付けるのに必要なトルクは、単なる摩擦が殆どということで、これをクロモリと鉄で比較すると、この仮定が正しいか間違っているのかは証明できる。
なんかいい方法が無いかと思って調べてみると、存外簡単な方法で計測できる事が分かった。
創造の館 https://souzouno-yakata.com/2016/02/08/15845/
幸いな事にアストロでデジタルトルクレンチを買ってあるから、こんど測って見ようと思う。
こんなやつ。

(似たような事を試している人を見つけました:だいちゃんガレージ)
本来このブログの記事で記載があるレーサーの様に、例えば「ベアリングを〇トンで打ち込んで、それに見合った力(ベアリングのセンターが出る力)で締結するように、シャフトの締め付けトルクを設定してください」とするのが正しい社外シャフトの取り扱い方法なんかも知れない。



ところで、YanTakeさんが「鉄もクロモリもヤング率かわんねーよ」とFacebookで資料を提示していた。
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確かにこの資料を見る限り、殆どヤング率は変わらない気がする。
秀樹感激。

強い力で引っ張られている、バイクの部品の中でも最も太い部類のボルト(アクスルシャフト)が、タイヤやサスペンション等の緩衝機構山盛り、というか、緩衝機構そのもの、のフォークやスイングアームに取り付けられている状態で、体感できる位に曲がったりするのだろうか。曲がったとしてもヤング率が鉄と変わらないのに変化を感じ取れるようなものなんだろうか、なんて事を思ったりする。
そもそもアクスルシャフトがそんなに曲がったりするならば、内部のカラーとベアリングの接触面だってもっと擦れてたりするだろうけど、そんな痕は未だ見たことがない。

他にもそんなことを考えている人は多い様で、乗り味が変わる理由をネットで色々と調べてみると
・とにかく乗り味が良くなる
・シャフト締め付けトルクが強(弱)すぎて締結力が増して剛性が高く(低く)なっているから
・シャフトが重く(軽く)なってバネ下荷重が高く(低く)なっているから
という意見があった。

最初の意見は無視するとして、2番目3番目の意見は、殆ど曲がり方が変わらない鉄とクロモリの差よりは、よっぽど大きな変化がありそうな気がする。

例えばシャフトの締結力が様々な要因で変わったとした場合、もう一つあんまり良くない事が起こる。
それはホイールを支えるベアリングの位置ズレが発生すること。

ホイールベアリングの調整はとっても難しい。
ベアリングの打ち込み量をほんのちょっと間違えるだけでホイールの回りが渋くなる。
同様にシャフトを締め過ぎたり緩めすぎたりしたらすぐに渋くなる。
難しすぎて、最近自分はパチロクさんが来る時にしか交換しない
この辺は絵で書こうかなと思ったんだけど、ここにこれ以上ないポンチ絵と解説があったので省略。
MOTO-ACE-BLOG https://moto-ace-team.com/maintenance-bearing/

なので、純正のちゃんとしたシャフトで規定値で締めこんだ時に、一番よく回る位置にベアリングをセットした後、クロモリなりチタンなりで締めこんで一番よく回るところで大体同じような締結力を持てるんじゃないかなって思った。
上記ブログの記載で、レーサーが指定されている引っ張り強さは3トンという事だったので、大体市販車とかでもこんな数値なんだろう。

余談なんだけど、都内某YSPのクロモリシャフトのインプレ記事で「車体重量が100kgの場合、純正品等では、40kgの力が必要に対して、当製品は、20kgの力で済みます。(ベアリングの転がりで、実際にはもっと軽減します)」という話が引用されて書いてあった。ベアリングのインナーレースが回る想定っぽいんだけど、そこ回ったら駄目なんじゃないのかな。回るところにベアリングを置く訳ですから、シャフトに対してインナーレースが回ってたらベアリング入れる意味あんまりないよね。
あと「製品精度を高めたことによって、ジャイロ効果増幅で操作性や走行中の直進性が向上し、横風の影響が激減」とあったけど、その因果関係が全く分からない。シャフトの交錯精度とジャイロ効果の変化ってどんな相関があるのだろう。だってシャフト自体まわらんもん。どうなんだろう。不思議。
プロが書いてる!〇〇さんが書いている!とかで一直線に疑いなく違う道に進んでいくことが無い様に注意しないとなぁとは思う。


稚拙な文章になるけど、まぁ大体こんな感じで、ちゃんとしたチューニングパーツとしてのクロモリシャフトの評価ってなかなか難しいなぁという印象。
摩擦係数だけでもこんど測ってみて、やっぱり締め付けトルクが適当だったとか、そこはあんまり関係無かったとかは検証しておきたいと思います。
大きく変われば、やっぱり締め込みトルクの設定が疑わしいし、あんまり変わらなければ、やっぱり重量以外の変化は変わらないんじゃないかなと。

別にクロモリシャフトを否定したい訳じゃなく、自分ももっているので、この素材の良さってどこにあるんだろうね、という探求の途中ってだけです。
適当に装着して「乗り味変わった」って言うのは「まぁそらそうだろうね、色々な原因があるだろうからね」って話にしかならないから。


余談で後、フロントフォーク間の隙間について。
フロントフォークとフロントフォークの間に、ホイールを挟み込む時に少し隙間がある。
この隙間があるので、すんなりとホイールを装着できる。
ここで、ちょっとFacebook上で話題になったんだけど、その部分はホイールの回りに影響するとかなんとか。
自分はホイールの回りにはあんまり関係無いと思ってます。
どちらかと言えばサスペンションの動きの方に影響するんかなと思います。
例えばフロントフォークとカラーベアリング等の挟み込む物体の隙間が1ミリあったとして、これを締め付けて密着させたとしても、角度にして0.1度(フォーク上部締結部からアクスルシャフトまで60cmで計算)。ほぼ誤差なんだろうなって思います。
この程度だとフォークアウターはアルミだし、十分ホイールカラーに密着できると思います。

つづく