OSR-CDI Version1.3.0aが出たので少し脇にそれた話。
色々な電子工作部品を作っていると、色々見ず知らずの人達から、売ってくれとか譲ってくれとか言われます。

自分はただのサラリーマンで、別に電子部品を売って生業としている訳でも無く、自分の楽しみの為にやっています。
電子部品を売るよりもサラリーマン一生懸命やっている方が儲かる事もあって、そういう話は全てお断りしています。
お金貰っても、それがモチベーションにはならないんです。
何度も何度もお金でなんかする事はありません、と発信しています。
余りにも沢山そんな話が来るので、以下の様な事を何回か書いてお願いしています。
それでもやっぱり言われます。
OSR-CDIを作り始めてから、特に。
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正直困っていました。
自分が作る電子工作品は作り方とか色々と公開しています。
作りたい人が自分で作れば良い。そんな風に思っています。
既に作った過去のものを、また自分が作るのは結構苦痛です。
新しい発見や、挑戦が全くないものに多大な時間を費やすのは、余暇の過ごし方としては面白く無いのです。

それでも、余りにも沢山言われるので、とある人に作って売らないか?と相談した事もあります。
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試作品であるOSR-CDIを、自分で幾つかオークションで販売したところ結構な額で売れました。
なので、きっとこの人も売ってくれるだろうと思ったのですが、別にやりたい事が出来たみたいで、うまくは行かなかったです。

ところが最近、あんまり作ってくれとか売ってくれとか言われなくなりました。
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なんでだろう、でも嬉しいな、と思っていました。

でも何のことは無い、自分以外の人達に、自分で作れない人達が頼んでいただけでした。
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なるほど。
だいぶん広まって来た結果、そうなって来たんだなと理解しました。
オープンソースですから、こうなる事は予測可能な自然な成り行きです。

自分以外の人が、自分以外の人に対して「作って欲しい」とか「売って欲しい」等と言っているのを見かける度に、別に全然かまわないんですが、本当にこのままで良いのかなと思ったりもすることがありました。

なぜか。
OSR-CDIは部品代等だけをみれば、大した金額ではありません。
本来は膨大な金額になる設計費、検証費が数多くの人達の貢献にでフリーになっている訳です。
道具を揃えて部品を揃えて作れば、出費は大体1.2万円位です。
沢山つくれば6千円位の原価になります。
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ただ、これを作るのは本当に大変なんです。
様々な事情があって自分で作れない人は、当然ながらこれが分かり辛いのでしょうがないのですが、きちんと作ろうとすれば、設計者の自分でも制作に丸一日潰れます。
動作確認まで入れると結構な工数になります。
バイクのパーツを作る事の怖さを知っている人程、作るのが大変なんです。
なので気軽に「作ってくれ」とか言われている人を見かけると、なんとなく気の毒になってしまいます。
勿論、自分が知らない人達の間柄の事なので、お互いの信頼関係でやっているのであればなんら問題はありません。
でもそれは自分からは分からないですし、実際自分は全然関係の無い人達から作ってくれとか言われてましたので、きっと今作ってくれと言われている人達もそのような事になっているんじゃないかとは想像できます。
色々な人間関係があって、どうしても頼まれたらやらざるを得ない時もあるんじゃないかなって想像したりもします。
でも鉛筆を削ってあげるのとは訳が違って、バイクのパーツは本当に慎重にやらなければ、人の命を奪ってしまいます。
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だからこそ、責任感のある人程、慎重に慎重に制作される事でしょう。
これは結構大変な事です。

自分は誰でも頑張れば自分で作る事が出来る様に努力しています。
それでもやっぱり自分では作らず人に頼らざるを得ない人達もおられる事と想像します。
なので制作を人に依頼するというケースは今後も無くならないんじゃないかと思います。
やむを得ない事もあるかと思います。

今の世の中はOSR-CDIが出てきた頃とは違って、CDIなんてリプロ品が沢山出てきていますので、有償できちんとしたショップから売られている物を買う事もできます。
ジールトロニックの様にOSR-CDIよりも沢山機能が付いたものも売っています。
それなのに、なぜOSR-CDIの制作を人に依頼するのかなと考えていて、色々な理由がある中で、そのひとつに、恐らく「OSR-CDIなんて部品代も安いしすぐできるだろう」と思われているのかなと思いました。
いやそんな事は本当に無くって、結構大変なんです。

自分は自分以外の人が、自分以外の人に何かを依頼することを否定はしませんし、自由にやればよいと思っています。ですがせめて、制作を誰かに依頼する際には「結構大変」であることを知って欲しいなとは前々から思っていました。
そんな時に、まずそもそもOSR-CDIの市場価値ってどの位なんだろうなと思ってオークションで余ったものを久しぶりに売ってみる事にしました。
二個ほど。どちらも自分の車体で普通に使っていたもので、かなりしっかり念入りに作ったものです。
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2年位前も売った事はありましたけど、今現在は色々なリプロ品が出てきていますので、もしかしたら価値は随分と落ちているかも知れません。
一つだけだと高目の値段が付くかも知れませんので、連続して二個出す事にしました。
というか手持ちの余りが二個だけしかありませんでした。

千円スタートです。
一つ目は30,500円。海外の方が買って行かれました。
二つ目は本当に運のいい事に、ヤマハ純正CDI、しかも新品がほぼ同時刻に売りに出されました。
SDRCDI
自分も新品は初めて目にしたと思います。
(思わずポチりそうになりました)
結果は純正CDI新品よりも高値の26,500円でした。
二個目は日本の方の様で、評価欄にこの様な事が書いてありました。
迅速な対応、誠にありがとうございました。予てから欲しかったものなので、非常に嬉しく思います。(自分ではとても製作できないので…)とても良い取引ができました。また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
自分の車両はドマイナー車種なので、リプロ品も相手にしてくれません。
なので、頑張ってマニュアル書いているとしても、こういった人達はいるんだなと改めて勉強になりました。

さて話を戻すと。
ドマイナー車種でもこの程度の市場価値があるという事実「だけ」は確認できました。
決して作る人にこの程度の金額を請求するべきという訳でもありません。
作ってもらう人に対して、この金額を払うべきとも、これ以上払うなとも言いません。
何度も言いますが、人と人との関係性は第三者からは分からないので、自分や他人がとやかく言う事はできません。
お饅頭ひとつで作れる関係性もあれば、1000万円でも不可能な関係性もあると思います。
ただ単純に、ノークレーム、ノーリターン、一切の保証無しの状態で販売したとしても、大体市場価値としてこの位のもの(他車種ならもう少し高額になると思います)をやり取りするって事はここに記録として記載しておきます。
サポート付きなら倍の値段になるでしょう。
部品代だけ見て、安いもんなのだから安く作って欲しい、という感覚ですと、作る方との気持ちの乖離は出てくると思います。
別に他のサービスや商品全てに言えることだと思いますけど。



以下少し余談です。
OSR-CDIは既に自分ひとりで作っているものでは無く、多くの人の無償の努力によって作られています。
その前提の上で自分はOSR-CDIを改変して売る事も別に問題無いと思っています。
何故なら当初からライセンス形態をBSDにしているからです。
GNUのライセンスよりもより商業利用しやすい形を「敢えて」採用しています。

GNUやBSD等のライセンスは、今の世の中の多くのサービスを支えています。
色々な人達が、それこそ数えきれない人達が寄って集って無償で作ったプログラム等を利用して、今の世の中は動いています。
意外と知られていないのですが、例えばみんなが使っているAndroidやiPhone等のスマホも、基本OSはオープンソースで作られています。
また、世の中のほとんどのサーバーはフリーなUNIX系のOSやアプリケーションで動作しています。
これらのオープンソースで作られたものは、現在全く関係していない人は、少なくとも日本には居ないんじゃないかと思う位には普及しているものです。
ですので、オープンソースのものが商業利用されている事に特に違和感は覚えません。
少なくとも世の中の仕組みの既に多くはそういった形で回っています。

自分は結果として幸せの総和が増える形になれば、それで良いんじゃないかと思っていますし、その趣旨で皆さんが開発に参加してくださっていると思っています。
幸せの総和が増えるのであれば、商業利用だってかまいません。
オートバイ部品の世界ではなじみが無いかも知れませんが、この考え方は少なくともソフトウェアの世界では幅広くよく理解されたものです。
最初の趣旨を曲げてしまうと辻褄が合わなくなるので、今後もOSR-CDIがBSDライセンスから離れる事はないでしょう。これは深く考えた結果です。



自分が唯一心配しているのは、例えばOSR-CDIはオートバイの部品である以上、上手く作れなかった場合は死に直結する問題を引き起こす事態になることです。
勿論、自分はOSR-CDIの不具合で死んだ事はありません。
もう何年にも渡って両手で数えきれない位の数を作って自分で走らせていますが、一度も自分は死んだ事はありませんし、これが原因でバイクが止まった事もありません。
きちんと作れば別に問題は無いものだと思います。
しかし昨今、色々な人の作ったOSR-CDIを見ていると、これは危ないな・・・と思うような物を見る事もあります。
人に手渡す側も、受け取る側も、その点は本当にしっかりと認識して、やり取りして貰えると良いなと思います。
特にオークション等で知らない人から買う人は、必ず基板の実装具合等が写真で出ているもの等以外は購入を控えた方が賢明だと思います。

売るのも買うのも自己責任。何があっても、です。
譲るも貰うも相手を思いやって。何があっても、です。

また、今までも今後も、自分は販売する為にわざわざ制作をする事はありません。
趣味にお金を混ぜると、自分の場合大抵ろくな事になりませんし、余暇を報酬を得る為に消費する程、自分の残り人生は長くはありません。



最後に昔の文章なんですが、今一度。