OSR-CDIの課題について、パチロクさんが色々と調べてくれました。

RZ250RはAC-CDIを採用しています。
クランク半回転(つまり一回分の点火サイクル)で3回充電して1回放電します。
SDRはシングルなのでクランク1回につき4回充電し、1回放電します。
放電するとプラグに火が飛ぶ仕掛けになっています。
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アイドリング付近での充電電圧は340V程度。

高回転になってくると、当然ながら充電放電サイクルは短くなる。
以下黄色の線がコンデンサの充電電圧、青線がサイリスタのゲート電圧だそうです。
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回転数が上がってきて、充電電圧は380V程度。

併せて、2ストロークは点火時期を遅くしていく。
すると、徐々に放電後から次回充電までの間隔が短くなってくる。
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充電電圧は360V位。

そしてついに、放電が終わる前に充電が始まってしまい、二回充電になってしまう。
これが2Aダイオード版(OSR-CDI v1.3.0b)版の波形で、大体回転数は9500rpmだそうです。
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これは貴重なスナップショットで、3回充電が成功している波形が1個だけ見られるもの。

この2回充電しかされない場合、ゲート電圧によからぬ波形が現れている。
どうもサイリスタがAK間で導通している間は、ゲートにも電圧が発生するのが原因。
こんなに長い間ゲートに電圧が掛かる原因は、発電機からの充電電圧がそのままサイリスタに流れてしまっているのが原因だと思われます。
このへんはパチロクさんの調査のお陰で分かって来た事てます。
ありがとうございます。


問題を振り返る。
サイリスタがターンオフするには一度AK間に流れる電流を止めなければならない。サイリスタの普遍的な動作でこれは大前提。
マイコンからの信号で、サイリスタがオンとなり放電が始まる。
ノンビリとエンジンを回している頃からすれば、放電は瞬間的に終わる。
しかし高回転時には時間が掛かってしまい、放電前に次の充電が始まってしまう。
これが課題となるのかどうかは後述。


充電周期はどの位なのか。
12000rpmで回るエンジンがあったとして、これは一分間に24000回の点火が走る。
これは1秒間に400回点火する事になるので、2.5ms間隔になる。
1回の点火で3回充電するので、0.84ms周期で充電されている事になる。
(パチロクさんがシゲキさんが作ったTOTレーサー29号車の車載を見ていて、うわぁ12000rpm回ってる、と唸ってから今のOSR-CDIのターゲットはその辺なっています)


実際にどの位放電に時間が掛かっているのか。
充電電圧300Vとして抵抗が3Ω(イグニッションコイルの抵抗値)の場合、放電には0.000068秒、つまり0.068ms、68us必要になります。
ま、大体そんなレベルの話として、これは十分速い様に思えますが、イグニッションコイルがあったり、フレームアースや古い銅線の抵抗成分があるので、実際にはもっと時間が掛かる様です。

細かい波形をパチロクさんが取ってくれました。
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0.2msの時間が掛かっている様です。

その後、1Aのダイオードから2Aダイオード版にしたところ、0.083msまで短縮されたそうです。
99%放電で0.068ms掛かりますから、殆どこれが限界に近い様に思えます。
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結局、ダイオードの容量を大きくすると高回転を常用する単車には良い様です。
これはダイオードの容量が大きくて電流が沢山流れるのが原因なのか、Vf値が大きくなったために超低電圧時に放電が止まるタイミングが速くなったのが原因なのか。たぶん後者が主な理由だろうなとは思っています。
それはさておき、パチロクさんのマップ設定では、これで9500rpm位まではきちんと3回充電されているという事でした。
デジタル進角CDIなので、点火時期はある程度変化させることができます。
つまり点火時期=放電時間を遅らせるとそれだけ充電回数が2回になってしまう確率が上がる訳です。


ここで少し立ち返りますが、2回充電になってしまう状況は駄目なのかというと、意外とそんな事も無く、RZは300V以上の十分な電圧で充電しています。
また同様の問題は必ず純正CDIでも起きていると思います。
なので、これが駄目かというと、そんなに駄目でもないとは思います。
そもそも2回充電になる様な回転数で回っている時間は、ノーマル車両だと殆ど無いと言っても過言ではありません。
ところがレーサーとなるとこの辺は普通に使われてしまいます。
駄目じゃないけど気になる、というのが今回の問題。
課題かどうかというと、微妙なライン。

まぁしかし、課題になるのかどうかは引き続き検討するにせよ、この問題は解決する方向で考えます。

まずダイオードですが、2Aバージョンにする事で改善するので、その他の問題も解決できますし、これは標準化します。
ダイオード容量を増やすことによって症状が改善しているので、サイリスタ自体もほぼ同じ特性なんだけど、同じゲート電圧で流せる電流が増える8P4SMAにする位は良い結果を生みそうです。
ちなみに8P4SMAは昔のOSR-CDIで使っていて、制作コストを下げる為に純正でも使われていた5P4Mにした経緯があります。
ちなみに、イグニッションコイルのアース側とOSR-CDIの黒線、もしくはその付近にアース線を這わすのは効果がある様に思えます。

ここまでは既定路線として、この問題を根本的に解決するには、サイリスタの様な自動的にターンオフするサイリスタを使うのではなくて、パワーMOSFETなどで制御するのが正しいやり方でしょうね。
80年代〜90年代に同じような事は出来なかったと思いますが、2020年代を迎えるにあたって、その辺に売っている部品で出来る様になりました。

てな事で、まずOSR-CDI Version1.3.0bは2Aダイオードと8P4SMAの部品指定をする事にします。
ファームも基板も試験済みのものとなるので、即効性がある対処だと思います。

そして次のステップ。
mos-fet
パワーMOS-FET駆動版はドライバにTLP250を使ってVersion1.4.0aとして設計してみましたが。
ハテサテ、完成するのかどうか。

つづく