2019年10月26日 OSR-CDIの充電2回しかしない問題への対処FETの選択
の続き。

昨日、コンデンサの蓄えるエネルギーから、400V 0.176Aの定常電流に換算して計算したところ、TK20A60Uでは容量が足りず、2SK2698なら足りるんでないかと思って色々と考えていたんだけど、東芝のデータシートに怪しい部分が見つかったので、真面目に再考する事にした。
怪しいのは2SK2968のデータシートのこのグラフ。
loss003
このFETの後継機TK15J50Dのデータシートを見てみると、桁が2桁程違っている。
あれま、どちらが正しいのだろうか。
なんとも言えない微妙なところ。

このグラフがちょっと疑問なのできちんとチャネル温度を見てみる事にする。
前回の考察から、2.2uFのコンデンサに400Vを充電し、イグニッションコイルを通して放電する事になる。放電時間はおおよそ全電荷を放出可能な30nsにしようと考えている。
12000rpmで動作する二気筒エンジンを点火するには、2.5ms(2500us)毎に放電するので、Duty比は98.8:1.2。
TK20A60Uのrth-twグラフを参照する。
rth-tw001
ここからDuty比0.01で30us印加する場合、rth(t) / Rth(ch-c) = 0.02程度であることが分かる。
チャネル・ケース間熱抵抗Rth(ch-c)はデータシートより2.78 ℃/W であることから、
rth(t) / 2.78 = 0.02
rth(t) = 0.056℃/W

データシートよりチャネル温度Tchは150 ℃となっているので、外気温25℃の時に125℃上昇するとチャネル破壊される。
1Wに付き0.056℃上昇するので、2232Wを加えるとチャネル破壊される計算になります。
0.176ジュールを0.0025s間隔で消費していくので、J = Wsの式から、400Wとなり、2232Wに対して結構な余裕がある事になります。

よって、TK20A60Uでも12000rpmで延々と走り続けてもチャネル破壊はしない。
あってるかな。

実際問題、サイリスタをオンにした際に400Vで電流値が最大化する訳では無く、コイルが直列に入っていますので、流れる電流は徐々に高まる事になります。
サーキットシミュレータで見てみると、こんな感じです。
graph
https://www.falstad.com/circuit/
IGコイルはJOGの物を使っています。
左下のグラフがコンデンサ出口の電圧電流。
この様に最大20A流れる時には殆ど電圧が掛かっていない状態になります。
実際にピークワット数は色々と条件を変えても1W程度でした。

つづく

なお、このシミュレーションは以下の部分をテキストファイルにて保存すれば、上記サイトで再現できます。
$ 1 0.000005 0.011943296826671963 50 5 43
c 336 112 400 112 0 0.0000022 151.26579365202073
g 272 288 272 336 0
v 176 288 176 176 0 0 40 400 0 0 0.5
w 176 288 272 288 0
S 336 112 272 112 0 0 false 0 2
w 272 96 176 96 0
r 176 96 176 176 0 10
w 272 128 272 160 1
187 608 112 608 224 0 1000 1000000000 1000 0.001
T 464 112 560 160 0 0.44 166 -18.051712011293198 0.10853949598102365 0.999
w 560 112 608 112 0
g 608 224 608 256 0
g 560 256 560 304 0
d 400 112 400 208 2 default
g 400 272 400 336 0
w 400 112 464 112 0
g 464 304 464 336 0
r 464 160 464 256 0 0.3
r 560 160 560 256 0 13000
r 272 208 272 288 0 0.01
d 272 160 272 208 2 default
r 400 208 400 272 0 0.01
r 464 256 464 304 0 0.01
o 0 32 0 4867 640 51.2 0 2 0 3
o 8 32 0 4867 81920 0.2 1 2 8 3