例えば容量1kgのアーモンドが売っていたとします。

おおよそ日本で売られているものは、ほぼ確実に1kg以上のものが入っています。
ピッタリ1kg入れて売りたいところでしょうけど、なかなかそうはいきませんよね。
1kg以下しか入って無ければクレームになりかねません。
つまり1kgと書いてあるからには「最低」1kg入っているという暗黙的なコンセンサスが存在します。

ここで45馬力の出力があります、というバイクがあったとします。
さて、前述の感覚で言えば45馬力と表記してあるので、「最低」45馬力出ている、と思いません?
しかし現代の感覚ですと例外はありますが、例えば45馬力表記の車で45馬力出ている車ってほぼ無いです。
何故なら45馬力ってのは長らく規制された出力だったからです。
つまり45馬力以下であることが求められた結果の数値なのです。


オートバイでは、1980年頃よりレーサーレプリカブーム時代に交通事故が多発したこと、原動機付自転車が本来の使用目的に比べて高性能であったこと、ナナハンをはじめとする高性能車が一般乗用車の最高速度を超える性能を有していたことなどの様々な理由により、排気量に応じて馬力の自主規制が行われるようになった。具体的には50ccが7.2馬力、125ccが22馬力、250ccが45馬力、400ccが59馬力、750ccが77馬力、1000cc超が100馬力で、誤差10%以内とされ、中間排気量の車両は上下の排気量に比例して数値が設定された。これらは1989年に明文化されたのち1992年に数値が引き下げられて250ccが40馬力、400ccが53馬力となったほか、測定誤差も認められなくなった
-引用 Wikipedia 自動車馬力規制-
250佞賄時最高出力を誇っていたRG250Γの45馬力を基準に定められたと言われています。
この45馬力規制は実は1989年より前にメーカー同士の申し合わせで決まっていたのですが、1989年より行政も一体となってより厳格に適応される様になりました。
なお、現在この自主馬力規制は撤廃されていますが、250佞魎泙狆排気量は現在の環境問題の影響でこれらの馬力規制値を超えてはいません。
1989年、それはオートバイの馬力規制がより厳格になった年、と覚えておいて良いでしょう。

ところで1988年までの自主規制ってどんな感じだったのでしょうか。
それは、アーモンド1圓噺世辰討い襪里1.2kgぐらい入れている様な時代だったのです。
少なくとも2ストローク250佞寮こΔ蓮
NSR250の中でも金字塔となっている通称ハチハチ。
ハチハチと言えばMC18、88年式のNSR250。
なんもしなくても60馬力位出ていたと噂され、実際出ていた車体もあった様です。
実際は50馬力中盤位が多い様ですが、それにしてもアーモンド1.2kg入ってたというね。


ウチの狼君。WOLF250はTV250Jという形式。Jは88年式の意味です。
決してハチハチとは言われませんが、ハチナチ一族の末端には居ます。
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大体オークションなんかだと、ウルフはウルフで、J型(88年式)K型(89年式)L型(90年式)をあんまり意識されていない様です。
ですが、そこには厳然たる違いがあるのです。

45馬力って言ったら最低45馬力無いとお客様に申し訳ない
という日本のメーカーの良心が残る一品。
1986年のNSR250(MC16)が出て来た時に、全メーカーが「オイ、やべぇの出て来たぞ」とザワザワし、その2年後です。

前置きが長くなりましたが、今日のパワーチェックは、不本意ながらまだまだメンテナンスが終わっていない状態で行いました。
まぁこの辺で一度見ておくのも悪くないです。
高速で乗った限りでは、息づく日本のメーカーの良心を感じました。
コイツは狂犬、いや狂狼です。
1983年製のRG250Γが既に45馬力だしてますが、それから5年後の1988年にどうなっているのか。
愉しみです。
IMG_4762

ちょっとその前にWOLF250の感想です。
VJ21って曲がり辛いって話を聞いていたんですが、自分位のペースで走る分には素直なハンドリングの様に思えます。
街中でも首都高でも全く違和感なく、恐怖を感じる事も一切なく、ニュートラルなハンドリングで普通に淡々と走れました。
リア18インチは別になんか感じる事も無く。
ただ、エンジンがやっぱりアレで、7000rpm位からパワーバンドの入り口に入り、9000rpmからいきなり弾ける様に出力が出ます。
正直これは怖いです。
特にRGV250Γよりもショートに振られた減速比、1速で全開は公道では100%やりたくないです。
乗りやすい車両とは思えませんが、以前乗っていたGSX-R250やGSX-750Sよりは全然楽です。
スズキの伝統なのか、ミッションは油冷エンジンと同様でガコガコ入る感じで、ヤマハの様な綺麗なシフトチェンジ感はありません。

まぁそんな感じでした。
まだまだ乗り込みが足りないのでこんな感じです。

狩野さんが計測をスタート。
IMG_4763
吸気〜排気までオール純正なので、とっても静かです。
計測前にSDR乗りのオチヤイさんに何馬力位だと思います?と聞いたところ、「まぁカタログが45馬力なので35馬力位じゃないですか?」と仰せ。
88年式という世界を理解してませんね。

SDR利楽猿号の様な爆音も無く、ある意味感動も無く計測終了しました。
狩野さんが「これ全部ノーマルです?」と聞く。
全部32年前のノーマル車両です。

分厚い鉄のチャンバー、SUZUKIロゴが入ったサイレンサー。
交換していないエアフィルター。
32年前のキャブのジェット類。
そして調子の悪い排気バルブ。

してその結果とは。
アーモンド1.2圈
200202_2052_004
54馬力@10500rpm。
おかしいなぁ・・・45馬力@9500rpmってマニュアルにも書いてあるのに。
2tv

その秘密はこの和光2りんかんのパワーチェックの結果に表れています。
そう、確かに9500rpmの時点では45馬力。
メーカーは嘘は言ってない。
2tv02
45馬力と書いたからには最低でも45馬力無いとイカン!
・・・という日本のメーカーの良心が残る88年式。

正直K型やL型しらないので何とも言えませんが、45馬力±10%の厳格な規制が始まった後ですから45馬力近辺に落ち着いていると思います。
実はハチハチ(NSR250/MC18)も排気バルブでパワーを抑えてますが、ギポシ一本抜くだけでフルパワーになるという話です。
VJ21のJ型もそんなんあるのか、今後見ていきたいと思います。

今回は念の為に2ストオイルを分離給油+混合にしています。
つまりメッチャオイル濃い。(しかもCCIS+青缶混合 笑)
これがなければもう1馬力位はあったかも知れません。

あと、8500rpmあたりのガタガタは排気デバイスの問題だと思います。
ちょっとウォームギアが滑り気味、ワイヤーも伸び伸びで、調整もまだ全く出来ていない状態。
なので、この辺改善したらもう少し綺麗な曲線を描くと思います。

調整途中でこの状態。
まだ先があったら面白いですよね。
それはまた次回のお楽しみに、という事で。
まずはウォーターポンプシール直さんと・・・。

さて。
当日来ていたパチロクさんが「こんなのを免許取り立ての高校生に売っていたんだから、そりゃ規制されますよね」と言う。
試乗したアルモクさんも「こりゃ駄目だ、免許が何枚あっても足りねぇよ」と言う。
自分はこの年代の2ストロークで知り合いを亡くしています。
やはりちょっと、駄目な世代だったんだと思います。
実は「本当のメーカーの良心」が発動されるのは89年式以降。
88年式の2ストロークはメーカーもユーザーも速いのが正義で、歯止めが効かない最後の、ある意味狂気の時代だったんじゃないかと思います。
時代が急速に変化し、メーカーの良心の在り方が一気に変わった89年。その直前のバイクです。
パワーバンド内が凄く刺激的。でも刺激的過ぎる。
自制心が無い人や免許取り立ての人は乗っちゃ駄目な年式です。

WOLF250:パワーチェック、88年式の狂気(1)
WOLF250:パワーチェック、88年式の狂気(2)〜HS-1の巻
WOLF250:パワーチェック、88年式の狂気(3)

つづく