その(R)Z
z
まるでくるおしく身をよじるように走るという

しらんけど

600V spl. パワーチェック

OSR-CDI 600V spl.を作成されたケンさんは、同じく600V spl.を搭載したR1-Zと共に和光ミッドナイト、、、じゃなかった和光2りんかんに出かけた。
OSR-CDIを搭載して、純正比100V位高電圧になっているのに、更に逆接続という秘儀を繰り出し、600V弱まで高まったCDI。
純正比2〜3倍まで昇圧されている。

自分は正直そこまで昇圧してもあんまり結果は変わらないし、逆に各部に負荷が掛かるかもとは言ったんだけど、悪魔の(R)Zはアキオ・・・じゃなかったケンさんを虜にしてしまった・・・らしい。

ケンさんのお休みは平日だったので、自分とパチロクさんは仕事をしながらその結果を待った。
和光ミッドナイトとか言いながら昼間行っとるやんけとかは言わないで。
もしかして和光に行く前にエンコしていないだろうか、買ったばかりの新品のTZ250コイルが割れたりしていないだろうか等と、待っている間は心配でならなかった。
しかし無事帰着したとのことで、その結果を送ってくれた。

悪魔の(R)Z
rz
赤と青で接続がテレコ。
どっちも変わらんのでどっちがどっちかはまぁどっちでも良い。

悪魔の(R1-)Z
r1z
赤と青で接続がテレコ。
どっちも変わらんのでどっちがどっちかはまぁどっちでも良い。

どちらも純正車両とは比較にならない位馬力が出ているけど、残念ながら350Vから550Vに昇圧しても結果は変わらなかった。
z002





















・・・っと、ここで「完」って訳にもいかないので、少し考察。

z003

この結果を無駄にしちゃだめよね。
このままだとトライアンドエラーじゃなくて、単なる無駄な時間になってしまう。

まずこれまでの結果

ケンさん達のRZ/R1-Zでは明確な違いは出なかった。
しかし先日、パチロクさんの29Lでは僅かながらに違いが出ていた。
rz250
青線と赤線は丁度電圧に差が出るところ。
詳しい経緯はこちらから。

これまでの調査によって、29L系列の発電機は、1KT系統に比べて発電能力が低く、1KT系統は逆に高すぎて、三回充電の内一回充電を捨てないと純正CDIの定格電圧を守れない位、であることが分かった。
パワーチェックの結果、点火強化は29L系統では三回充電から二回充電になってしまう高回転領域では意味があり、1KT系統ではそもそも意味が無いという結果になった。

考察

これまでの自分の経験とその他の情報等を勘案すると、プラグの火花を強くして意味があるのはA/F比(混合比)が悪い状態の時だけと感じている。
少なくても80年代以降の2ストローク車は、掃気や排気のポート形状が悪いのが原因で、一度着火した燃料が、途中で消えてしまう様な事もほぼ無いと思う。
つまり燃料がシリンダー内部で、「燃焼が強くなるか、ならないか」ではなくて、「燃え始めるか、燃え始めないか」の違い。

有名な草レースで優勝しちゃったりするような2ストマシンでも点火強化の定番ウオタニも付けてないし、その他の点火強化なんかしていなかったりしていて、精々古くなったプラグコードを新しくしている位。
それは、それらの車両がきちんと燃調が出ているからなんだと思う。
そもそもプラグで着火した混合燃料の燃焼速度は別に着火の強さでは変らない。
よって点火を強化する事は、「燃料が燃焼した際の膨張圧力を引き上げる」ことは無く、「失火する・しない」の割合を変えていくだけ。
もともとしっかり点火出来ている状態で、プラグの火を強くして何か変わるのだろうか。
勿論、圧縮比を上げたりしていると着火が難しくなるので意味はあるかも知れないし、全開時のエア流量を上げる為に、直キャブやパワフィルにしているとA/F比が狂いやすいので、そういった場合には意味があるかもしれない、とは思う。

昇圧はデメリットも当然あって、イグニッションコイルやプラグに不要な高電圧が掛かってしまう。
例えば、もともと高電圧で着火するAC-CDIに、ウオタニを付けてプラグが壊れる話は枚挙に暇がない。これは一次側電圧が低いバッテリー点火向けのもので、AC-CDIにつけると二次側の電圧が上がり過ぎて駄目になるんじゃないかなって思っている。
  • ウオタニについてちょっと追記。
    ウオタニは、付けるべき車両には付ける価値はあると思っています。
    油冷4発に乗っていた時に、燃調を合わせるのを非常に苦労した経験があるので、そういったバッテリー点火を強化する為に16V化したり、ウオタニ使ったりするのは理解できます。自分も持ってたら付けたと思うし。
    一方、AC-CDIの2ストローク車に付けるのは意味が無いどころかデメリットが強い様に思っています。プラグが死んだという数多くの話、ノーマルのコイルに変えたら高回転時のガサツキが無くなったという複数の話、AC-CDIにつけるとすぐ壊れるとか、沢山見てきました。
    例えばウオタニ付けて調子が良くなる車両は、吸排気を適正化したり、古くなっているハーネスの刷新などをするのが先なんじゃないかと思います。たぶんそれで問題は解決するはずだし、燃料を正しく使う為に必要なことかなと。
    付け加えて言えば、コンデンサの放電時間も伸びてしまい、大切な充電を一回逃す様な事もあるので、装着するには本当に相当の検討が必要なパーツだと思います。

高電圧CDIは意味があるのか

点火系の強化は29L系統の弱い発電力しかない車両には意味がある。
だけど1KT系統では、メーカーは余っている電力を捨てている位。
(少なくとも1KT以降は)純正では昇圧なんかしなくてもきちんとエンジンは性能を発揮できる設計になっている。

ヘッドチューニングでハイコンプ化してあるとかで、点火困難になるようなレベルで、初めて点火強化が必要なんかなと思う。
色々な考えや捉え方があることは知っているけど、勝手な自論としてはそう。
正しいかどうかは分からない。
単純に点火系の強化なんてAC-CDIは簡単にできるってこと。
100円位のコンデンサを一つ繋ぐだけであっという間に1000Vを出せる事は当然ヤマハや日本電装の人達だって良くご存知のこと。
しかしバブル時代の馬力競争でカリカリにチューニングされた車両ですら、それをしていないのは、それなりに理由があるんじゃないかな。
純レーサーのTZ125もTZ250も、CDIの電圧やイグニッションコイルはRZやTZRと一緒。
純レーサーでも使っていた部品を変えて何かしなければならない時は、それは何か別の部分がおかしいんじゃないかと疑っても良いかも知れない。
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気持ちよく綺麗に回る全く失火していない2ストロークエンジンに対して点火を強くしたところで、たぶん何にも効果はないと思う。

600V spl.その後

ケンさんは今、600V spl.の利用を続けている。
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純正の電圧は200V〜250V程度。
600V spl.はメーカーが設定した余裕を潰しているのは間違いない。
メリットがあるとすれば、A/F比を外したところでも燃焼を開始しやすい事だと思う。
パーシャル領域からアクセルを開けていくときのツキが良くなると言っていたけど、エアクリーナーボックスが無い車体で、A/F比が不安定な瞬間を点火ミス無く乗り越えていくのが原因じゃなかろうか。
そして、そういった理屈があって変更を加えるのであれば、意味があると思う。
パワーフィルターというメリットを選択し、そのデメリットをなるべく相殺する為に、別のリスクを選択している。つまり性能とリスクのバランス取り。
ハーネスがぼろくてそれをカバーする為に高電圧化するのであれば、そりゃ整備不良ってことだけど、これは「チューニング」と言っても良いんじゃないかなと思う。
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もしかすると乗っている本人しか分からない位の変化かもしれない。
だけど、こういう変化の積み上げがなされた車体って「塵も積もれば山」で、本当に凄い車両になって行くんですよね。
ケンさんは整備士の技能大会で千葉県でトップに立ったこともある位、機械整備は強い人なので、電気でちょっと位のリスクはしっかりメリットに変えていけると思っています。
このRZを見ていると、バリバリカスタムされている作成途中の車体なんですが、何も変な付け方をしていない、理にかなった雰囲気がある車体です。
今後も注目していきたいと思います。