前回テイストレーサー(TZR250)のセッティングをした時、OSR-CDIの限界点にぶつかりました。
その話の備忘録。
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このTZR250は全開ピックアップ信号位置を確認したらBTDC33度だった。
ピストン上死点から33度戻った時点(BTDC)でクランク状態が分かる信号が来る。

現状、仕様上BTDC33度より前に点火することは物理的に不可能です。
信号が来てからクランクが一周するのを待って点火する、という話もありますが、点火時期の精度はガタ落ちになるので、それはしたくありません。
もちろん純正CDIもそんなことはやっていません。

OSR-CDIはデジタル点火を行います。
ピックアップ信号が来た後回転数を測定したりと、マイコンで色々と処理をする時間が必要です。
このマイコンで処理する時間はエンジン回転数とは殆ど関係無く一定の時間が必要ですので、エンジン回転数があがれば上がるほど、相対的にこの時間が大きくなってきます。
下の図は、OSR-CDIの点火時期設定の限界値を示しています。
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青線はピックアップ信号がBTDC36度だった場合、赤線はBTDC33度だった場合です。
この間のTZR250ですと、ピックアップ信号がBTDC33度でしたので、大体10000rpmで最大25度位までの設定が最大となります。
結局、TZR250の進角カーブはBTDC33度の赤線に抑制されて以下の通りになっています。
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BTDC36度の場合は、もうちょっと余裕があり+3度位は進角出来ます。
10000rpmで25度まで進角してるので十分なのかなとは思いますけど、TZR250はここまで進角してもパワーが出続けました。
これ以上ガッツリ進角するのは流石に気が引けますね。


とはいうものの、もう少し自由度が高い設定にすること自体はトライしてみたいと思っています。
単純にやる事は「マイコンで色々と処理」している時間を短縮する事になります。
PIC18F25K50とかの高性能マイコンを使えば良いんですけど、それってちょっと面白く無いですよね。
ハードに頼るのはソフトウェアが限界までやってからですから。