ハンチング対策としてTM32SSキャブレターのニードルジェットをP-2にしたのが3月頭。
2017年03月03日 TM32SS:ニードルジェットP-2だとちょいと濃い問題

でも結局これって濃くしてごまかしただけの様な気がしてたし、そもそもP-2だと濃すぎる。
プラグも(純正TM28SS並みだけど)黒くなり過ぎの様な気がする。
P-1は廃番なんだけど、鶴さんが言うにはJBS経由で注文したら手に入るよ〜という事だった。
JBSさんの名前はミクニの部品を漁っていると必ず出ているので名前は知っていたんだけど、今HPを見ると、メッチャ近所やんね。
http://www.jbs.ecnet.jp/
一回行ってみたいな。

さて。
P-2でもパワーチェックで過去最高の出力が出ているので、まぁええやないのという話もあるんだけど、しかし、ニードルジェットP-0の方が寒い時期にRASC(エアジェットコントローラ)による制御が要らない位の薄さで丁度良いので、なんとかならんもんかな〜と思っていた。
ハンチングを濃くして直した、それでキャブのセッティングが出た、というのはなんとなくだけど嘘ッパチの様な気もするし。
 
そこに岡山国際を1分46秒台で走る世界最速SDRでの試行錯誤情報が舞い込んだ。
YPVSを全開固定にするとハンチングが止まらなかった。
あ、、、忘れてた。TZKさんありがとう。
俺YPVSも点火時期も自由に調整できるんやった。
YPVSとは何か。ヤマハのHPから引用する。
YPVS
yamaha power valve system

ヤマハ・パワー・バルブ・システム(Yamaha Power Valve System)の略。1970年代後期、排出ガス低減の技術研究から生まれた技術で2ストロークエンジンの排気タイミングを可変として優れたトルク特性を引き出すもの。GPレースでは78年YZR500に採用され、ケニー・ロバーツの世界チャンピオン獲得に貢献。レースの実戦投入以降は、多くの市販車量にも搭載された。近年は2ストロークのマリンジェット用に適用され、排気温の制御機能を活かして触媒機能を効率的に引き出すフィーチャーとなっている。

という事で早速頭をポートタイミングに切り替えた。

課題と仮説

課題は以下の通り。
2速7,000rpmでハンチングが発生すること。
またニードルジェットでその領域を濃くすると改善するけど、濃すぎること。

仮説は2点。
仮説1 YPVSが速すぎる為、フィードバック制御がハンチングを起こしている
仮説2 YPVSの位置が悪い為、排気タイミングが合っていない

検証1 YPVSが速すぎるの検証 

まず土曜日。埼玉へ行く途中の高速で試したのはこれ。
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こっそりCDIの点火時期も修正しているけど、そこはまた今度のお話。
赤が標準。黄色がテストマップ。
ちなみにRCDIは1000回転毎にしか値を設定できない訳じゃない。
UIとして簡易化する為にそうしているだけであって、.CDIファイルを直接編集する事によって100回転毎に値は設定できる。

課題は最近かなり強力になってしまったYPVSだと想定。
余りにも高速に動作する為にハンチングが起こっているんでは無いか?という話。
この辺はフィードバック制御の問題で、工学的な自動制御の話になるから詳細は省略するけど、一応今後はフィードフォワード制御に改善したいと思っている。(きっとトム蔵さんが大好物の話に違いない)
将来の事はさておき、YPVSの開き具合をなだらかにしてみた。

高速で色々とテスト。
うーん、変わらずやっぱり7000rpmでハンチングが発生する。
7000rpmでのYPVSの開き具合は同じにしてあるのは、問題を切り分ける為なんだけど、前後をなだらかにしても変化はなかった。
一番の問題は、ぬるーっとした感じで乗りやすいんだけどパワー感がそがれた感じが少々すること。
これは問題でこの方法はその時点で却下。

仮説2 YPVSの位置が悪いの検証

YPVSの位置が悪いってのは、つまりポートタイミングが悪いってこと。
排気タイミングを変える事によって改善しないかという風に考えた。

ハンチングが発生するのは、パワーバンド入口での急激な燃調の変化が原因とする。
例えばアクセル開度一定の時、
燃調が合うので回転が上がる → 燃調が合わなくなる → 回転が下がる → 燃調が合う → 以下繰り返し
になっていると想定する。

となると、YPVSの開度そのものを変える必要がある。
そこで日曜日に試したのはこれ。
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7,000rpmでYPVSは全開にしてみた。
YPVSの開度勾配はさらにきつくなっているのは仮説1との問題を切り分ける為。

結果としてはハンチングが収まった。
7,000rpmでマップスイッチを切り替えると、ハンチングが発生する、止まるが変わる。
ステッピングタコメーターの針は激しく振れるんだけれども、ハンチングには移行しない。
ちなみに音はかなり大きくなる。

もしかしたら7,000rpmの燃調が悪くなっているだけ、という可能性もある。
でももしかしたら6,000rpm台が強力になっている可能性もあります。
音はバリバリッといい音させているんだけど、この辺はパワーチェックでもしないとなんとも。

結果

YPVSの開度調整でハンチングは収める事ができた。
調整したのはパワーバンド前半、トルクバンドのど真ん中付近。
調整後特にスカスカになった感じはしないが、良くなったのか悪くなったのかは不明。
2ストでよくある「パワーが出ました」っていう感覚は、単純に急激なトルクの変化が出ただけの話で、それでそう思ってしまっている可能性がある。
だから分からないとしておく。

そもそも2速7,000rpmのパーシャルなんてレーサー以外使わないものだと思うけど、治るんだったらまぁ良いです。

スイッチパチパチ変えるだけでマップ切り替えをするので分かるんだけど、7,000rpm付近のチャンバーからの音は確実にうるさくなった。

やっぱりこれでしっかりとチューニングした方が良いのかも。
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YPVSだけコントローラ。
ポートタイミングをチューニングするのがダイヤル一つでできるって素敵ですね。