テレイグジスタンス。
Wikipediaから引用すると
テレイグジスタンス(英: Telexistence、遠隔臨場感、遠隔存在感)とは、バーチャルリアリティの一分野であり、遠隔地にある物(あるいは人)があたかも近くにあるかのように感じながら、操作などをリアルタイムに行う環境を構築する技術およびその体系のこと
ということ。
遠隔地からリモートで自分の分身を送り込んでしまう技術。
よくみるイメージは、人がVRヘッドマウントや、ハンドセンサー等を付けて、人型ロボットを遠隔操作する姿。

ユースケースとして遠隔医療なんかが挙げられているけど、余りにも先進性が高すぎて、ちょっとピンとこない。
本当に可能なのかどうか、本当に手術なんかをしたりするのは、出来たとしてもまだちょっと先の世界なんじゃないかな、と思っていた。
テレイグ、まだ近未来の話。


ところが。
身体障害者が、テレイグでビルの受付や秘書業務をやる様な事がニュースになっていた。

この時、自分はようやくテレイグジスタンスの使い方がすこしイメージできたし、遠い世界の話じゃない事にも気が付いた。
遠隔手術の様な高度な事じゃなくても良いんじゃないか。

色々な場所にロボットがあって、ネットで接続すれば即座に操作できる。
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健常者では無くとも、ロボットが操作できれば色々な仕事が出来る。
まるで攻殻機動隊の草薙少佐の様だけど、実はもうそういった世界が始まっていたってこと。
上記の分身ロボットは色々な企業に配置されていれば、通勤時間ゼロで即座に色々な所で仕事が出来る。
倉庫で眠っているペッパー君が再び復活する一つの手段になるんじゃないかとは思った。



この間、兵庫県に住むオカンが病院から退院した。
結構後期のガンという診断を受け、県立病院では手の施しようが無く、別の大阪にある病院のお世話になりながら在宅するという事になった。
在宅に当たって、兄貴と弟が準備したのがベッドのレンタルとNETカメラ。

このNETカメラなんだけど、スマートフォンのアプリで簡単にカメラの向きが変えられる様になっていて、あれいないな?と思ったら、スマホからカメラを操作することが出来る。

何時もコタツでテレビをノンビリ見ているオカンなんだけど、たまに姿が見えなくなる。
そんな時はカメラを操作して探してみる。
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大抵タバコ吸ってる。
このカメラは兄弟の中でも大ヒットで、これまで電話しないとなかなか様子が把握できなかったところが、簡単に今何をしているのかが確認できる様になった。
音も聞こえるし、片方向なんだけどこちらからの声も届けられる。

朝起きてカメラを確認すると、朝からテレビをノンビリ見ている。
マイクボタンを押して「おはよう〜元気か?」というと「げんきやで」と声がする。
これまで寝ているときに電話するのは申し訳ないとか(歳とってるので昼から寝てる時もある)気を使ってたんだけど、カメラのお陰で気軽に声が掛けられるようになった。
たかだか5千円の機械なんだけど、これで凄いコミュニケーションが増えた。

この間、額にヒエピタを貼っていたので、「オカン元気か?熱でもでたんか」とカメラから声をかけた。
すると「いつものこっちゃ」と返事があった。
体を大事にしろよ、と言うとお前もな、と言う。

最後にカメラを上下に振って、うんうん分かったとジェスチャーをしてみた。
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オカンもカメラに向かって首を振った。
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もう一度、カメラを二回上下に振る。
またオカンが二回、うんうんと頷く。

別に大層なロボットを導入しなくても、こちらから少しジェスチャー出来るだけで全然コミュニケーションが変わる。

テレイグジスタンス、始まってるやんけ、これ、と思った。