そーいや去年の秋頃から進めていたOSR-CDI Version2.0ってどうなってるのか?
というのを少し振り返っておきます。

経緯

OSR-CDI Version2.0は、OSR-CDI Version1系を使っている時に現れる課題解決の為に開発されていました。
その課題とは
  • RZ250(29L)において、高回転領域(9000rpm以降)において、
  • メインコンデンサに充電された電荷の放電時間が長い為、
  • サイリスタによる放電時間が、次の充電タイミングに差し掛かる。
  • よって、コンデンサの放電時の電圧が低くなる問題。
です。

OSR-CDI Version2.0系を利用する事によって、この問題は解決され、パワーチェックでも性能改善効果は表れました。
OSR-CDI Ver2.0はVer1.3を超えるのか(1)
OSR-CDI Ver2.0はVer1.3を超えるのか(2)

SDRでも複数の車で試していて、なぜか始動性の改善のおまけが付いて好調に走っています。

ところが、別のRZ250では、取り付けたOSR-CDIが壊れてしまうという結果に。
OSR-CDIv2:燃える2SK3234

その後色々な協力者の方々のお陰で、1KT系統の発電機と29L系統の発電機で違いがあり、1KT系統の発電機では、そもそも29L系統の持つ課題が無い事がわかりました。
TZR250(1KT)のCDI調査

このへんの下りの詳しいところは
カテゴリ:OSR-CDI
で閲覧できます。

ちなみに我がSDRを含め、複数の車両(通勤車両含む)でVer2系統は継続して試されていて、サイリスタからFETに移行した今回の試みはある程度の信頼性も確保しつつはあります。

OSR-CDI Ver2系統はシングルエンジンと29L系統の発電機を持つRZ250だけの対応で止まっています。
この検証結果が出たのが20年2月で、その後暫くはうっかり手を出しちゃったウルフ250に構ってたり、長らく手付かずだったHS-1のニキシー管メーターとかやっていたので、、、。

最近は体を張ってトライしてくれる人柱協力者も現れて下さっているので、そろそろサイリスタと決別すべく1KT系統での動作を目指したいとは思っています。

ただ、OSR-CDI Version1.3.0もリリースしてから丸一年。
基礎となるVersion1.1.1から丸二年。
二気筒に対応してから丸三年。
始祖であるSDR版からはもう丸七年経過しました。
長いなぁ〜。
少なくともVersion1系統はかなりの台数で、通勤車両からレース車両まで幅広く使われています。
相当の実績を積んできていますので、当面はこちらをメインに使って貰うのが良いんかなとは思っています。

で結局

という事で現時点では
  • 1KT系統車両は、安定動作しているVersion1.3.0bを継続して利用する
  • 29L系統車両は、9000rpm以上常用する(?)チャンバー入れた車両ならVersion2を試してみる価値がある・・・かも(ただし人柱覚悟)
  • SDRは、Version2系統でも良いんじゃないかな?
という感じです。
まぁどれもこれも自己責任でっていうお約束ですけれども。

今後

Version2.0系統は1KT系統の発電機を持つ多くの車両には、(動いてないので)未だ使うメリットがはっきりしていないのが課題といえば課題。
しかし中途半端なままだと気持ち悪いので、継続してトライは試みます。
特にこの手のデバイスは熱問題が付いて回りますので、夏に試験する事に大きな意味があります。
今年はまた灼熱の夏という予測が出ていますので、そこに向けて改善案を構築してテストを進める様に段取りしていきたいと思っています。

しかしながら同時に発生している課題もあって、そちらについても引き続き検討しないといけません。
OSR-CDIの最大進角可能範囲問題
こちらは優先度は然程高くは無いと思っているところもあり、どちらを優先するのかは悩みどころです。

おまけ

ちなみにですけど、昨年の9月頃からのOSR-CDIのダウンロード数の推移です。
osr-cdi
なぜかとっくに公開場所であるFacebookの電装友の会の人数を大きく上回る数がダウンロードされているんですが、そこはまぁおいといて、この半年で意外な数がDLされてました。
130系統だけでも少なく見積もっても3〜4千を超える数がDLされていると推定してます。
全部が全部作られている訳では無いと思いますし、一人の方が複数作っているのは沢山見かけますから、動作している個数は分かりませんが、RCDI時代から考えてもかなりの数に上る気がします。

数字自体にはなんでこんなに多いのだろう?とは思うところがありますが、結果、数多くの車両に開発に参加して貰っているのは心強い限りだとは思います。
恐らく純正電装の代替品としては、最も多く使われているんじゃないでしょうか。

ここまで使って貰えているのであれば、例えば自分が死んだとしても、維持発展が期待できるような気がします。ブラックボックスで商業ベースで提供されているものは、いずれどこかで確実に供給されなくなる訳ですが、OSR-CDIは誰かが継続して開発改良を加え続けてくれる可能性があります。
別の意味でも、そもそも「信頼性」とはなんであれ「数x時間」で測る結果が全てです。これだけ使われているのはある程度の信頼性に質すると思っています。
(なので一度採用した部品はなかなか変更しないんですが)

ユーザーによって開発され、ユーザーによって検証される、そんな形式のものが、沢山ある選択肢の中にひとつ位あっても良いですよね。